ADB異世界トリップ小説A
黙秘
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スクラルの声は、最後まで私の耳に届かなかった。

ただ、なーんか、うまく逃げられたような気がしてならない。


しらんってなによ。


しらんって。


イラッとした時には、元のあの広い部屋に戻っていた。
目の前に白い天井が広がっている。

意識が落ちたというより、まばたきしたら、景色が変わっていたって感じだ。


私が視界の変化についていけず、頭をボーッとさせていると

「あら!こんなとこにいたわ。ちょっとあんた大丈夫?」


ぼやけた視界に紫頭のド派手な美女が飛び込んできた。


ってか




えっ!?




えっ!!?




ええ"っ!!?




「・・・・・!!?」

思考の停止した頭と、ぼやけた視界が一気に晴れた。

見たことある!
見たことある!
見たことあるって!



あのナイスバディなスタイル。
あの整った顔立ち。

なによりあの、紫の髪は!


ドラゴンボールの美人天才発明家。



「・・・・・・・・ブッ!」


ブルマ!!

と言い掛けた言葉を、ギリギリ飲み込んだ。


時空の狭間で、白い怪物に宙ぶらりんされてた謎の少女(実は23歳)が、ここで彼女の名前を呼ぶわけにはいかない。




それでも動揺を隠しきれずに、口をパクパクさせていると

「ホントだ。君、大丈夫かい?」

と、もう一つ派手な頭がひょっこりと現れた。



ドキッと私の胸が脈打った。



今度は声すら出なかった。


強くて格好いい戦士達の中で、一番大好きだった人。


絶望的な未来を変えるために、悲しみを抱え、希望と共に戦った戦士。



トランクス・・・・。






(ひ、ひぇぇぇ)
たまらず、床からら飛び起きると、後ろへと後退る。


「あ、あの。あのあの・・・・えっと」

この世に生を受け23年。 
18歳から働いてるから、社会人として働いてきて約5年。 

典型的な商社で、外回りだってこなしてきた。


それなりに修羅場も、潜り抜けてきたし、様々なピンチをクリアしてきた。 


でも・・・・・・



こんなハチャメチャな展開に直面したことはない。 

スクラルさん。
出来れば、もうちょっとナチュラルな展開になる場所に飛ばしてほしかったよ。



どうすればいいんだ私は。
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