1/4ページ目 西の都の中央区にあるショッピングストリートは、復興の象徴とも言える。 歩道を歩く連中も、成功者の前線組に乗っかった奴らっていうの? 女はみんなOLだ。 破れやすいストッキングなんて衣類を買うのがすでに贅沢だし、エナメル素材のヒールがまぶしい。 男はみんなサラリーマンで、油をしっかり塗り込んだビジネス靴に、手触りのよいスーツをめかし込んでいる。 だからさあ。よけいに目立つんだよな。この喧嘩。 「ですから! わたしの話を聞いてください!」 「うっひょひょ! やっぱりぴちぴちギャルとのデートは格別じゃのう」 「デートじゃありません! 仕事ですぅ!」 「そう固いことを言うでない。目の保養は長生きの秘訣じゃて。何はともあれ、まずは腹ごしらえじゃ。ほれ、腹が減ってはなんとやらと言うではないか」 「結構ですし、武天老師さまの長寿に貢献したくありませんわっ!」 イラータのやつ。すっげーセリフ吐いたな。 レストランにいる客が、みんな目を白黒させてるぞ。 わたしはウエイトレスがもってきたお冷やを飲みながら、亀仙人のじーさんとイラータの言葉のラリーをかれこれ一時間ほど見守っていた。 トレードマークのはずのイラータのたれ目が、すっかり釣り上がって鬼の形相になっている。 これはどう考えても人選ミスだろ。 わたしはイラータがにぎりしめる商品取扱説明書を横目に、お冷やをもう一口飲んだ。 カメじーさんが購入した最新型のテレビが、口頭で説明して、サインをもらわないといけない代物らしいんだけど、営業の男性陣は全員出払っていて、ダメらしい。 トランクスもブルマさんもどうしてもスケジュールが合わず、かと言って一般女性をカメじーさんにけしかけるなんて、おそろしい行為はできない。 さてどうする? となった時に抜擢されたのが、私とイラータだった。 イラータなら商品の知識がある。 わたしはボディーガード役・・・・・・、ではなく、カメじーさんがわたしに絡むと異様な凶暴性を見せるイラータの起爆剤かわりらしい。 ブルマさんに拝み倒されてしぶしぶ承諾したんだけど、どうしろって言うんだよ、これ。 うんざりしていると、不意にカメじーさんが私にメニュー表を押しつけてきた。 「ほれ、ルンルンちゃんは? 何にするんじゃ?」 わたしはメニュー表の頭を丁寧に押し返した。 「こんなところで飯を食ってる時間なんて、平社員にねーんだよ。カメじーさんもぴちぴちギャルと遊びたかったら、さっさとサインしてキャバクラにでも行けよ。いいとこ知ってるぞ」 「ル、ルルルルルンルンさん!?」 わたしが財布からキャバ嬢の名刺を取り出すと、イラータの目がひん剥いた。 わたしはフリーズして動かなくなったイラータの手元から、二枚複写の用紙を引き抜いた。 一枚目は会社の控えで、二枚目が客の控えだったよな、たしか。 わたしは二枚目の用紙にキャバクラの連絡先を書き写すと、カメじーさんに差し出した。 「ほれ、ここのキャバ嬢はどの子も巨乳で、かわいい子ばかりだぞ。当たり外れはまずない。連絡先がほしかったら、さっさとここにサインして、控えを持っていきな」 「きょ、巨乳・・・・・・!」 カメじーさんのほっぺが染まって、手がいやらしく動き出す。 健康的なじーさんで助かったは。 作戦がちを予想して、わたしはクスリと微笑んだ。 そのときだ。 「警察きどりが粋がってるんじゃねーぞっ!」 きらびやかなレストランに似つかわしくない、チンピラな怒声がひびいた。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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