1/3ページ目 よぉー、ぽんっ! で締めたところ悪いけど、夜もとっぷりふけて、会社にしのびこむのに、ちょうど良い時間だ。 気分良く締まることなんて、今後ねーだろうな。 見送りの心配を丁重にお断りして、私はカプセルコーポレーションの裏口にかくしてあった荷物を、引っ張りだした。 自動拳銃が二丁と軽機関銃。予備の弾。 一仕事する時にいつも着ている黒のタンクトップとジーンズのズボン。ブーツ、口元を隠す黒のスカーフ。 どうどうと着替えて、マフラーを口周りにまくと、ホルスターを腰につけ、拳銃を納める。 機関銃は・・・・・・おいていくか、地味に重いし。 あと三十分もすれば、人気もまったくなくなる。 社長室に向かうまでの防犯のカメラやセンサーはほとんど、こわした。 緊急でなにかしら、設置してあるかもしれないけど、見逃さない自信は、ある。 さあ、とっとと盗んでおさらばしよう。 わたしはマフラーの中で、笑みをつくった。 平和になって、たまるものか。 ****** イラータさんを家の前まで送ったものの、玄関で寝てしまいそうだったから、しかたなく鍵をあけて、ベッドまで運ぶことにした。 女性らしい部屋だ。いや、真っ暗でほとんどわからないけど、化粧品かシャンプーか、とてもいい匂いが香ってくる。 「イラータさん、だいじょうぶですか? お水、いります?」 「むにゃ、だいじょうぶですぅ〜。ありがとう、ございますぅ〜。社長。ありがとうございます。助けて、いただいて、ありがとうございます。社長」 うわ言のように、支離滅裂なお礼を言われ、苦笑いする。 「こちらこそ。ありがとうございました」 トランクスが頭を下げると、寝息が聞こえてきた。 生きている。当たり前に存在する人の息つぎに、顔がほころんだ。 今日、遅くまで語り合ったみんなの顔も浮かぶ。 (悟飯さん。見ていますか? 俺、すごくしあわせです。しあわせだって、思って、いいですよね? これが、平和なんですよね) 玄関のドアをあけると、また「ルンルンしゃん、むにゃ・・・・・・」と、寝言を言う声が聞こえた。 (ルンルンさんか・・・・・・) イラータの家を出て、夜道を歩きながら、黒髪の女性の姿を思い出した。 気の強そうな、さばさばした人だけど、どこか寂しげで、気さくで、大胆で、母さんとも似ている気がする。 かわいいと言うより、美人と言うより、美しい人だとも思う。 (またお礼をしないと、いけないな。どうすれば、よろこんでもらえるだろう。こういうのは、母さんに相談するのがいいかな。 ・・・・・い、いや、それをダシに、からかわれそうだ。それに母さんのことだ、とんでもないアドバイスをされて、強制実行させられそうだ。第一あの人はいつもめちゃくちゃなんだから。 今日だって、会社のセキュリティーが復旧してないのに・・・・・・) 「あ・・・・・・会社」 トランクスの顔がカプセルコーポレーションの方角に向いた。 (すぐそこだし、見回りに行くか・・・・・・) トランクスは方向を変えて、カプセルコーポレーションのある通りに出た。すぐ向かいが、カプセルコーポレーションの正門玄関だ。 そこでトランクスは目を見張って、思わず物かげに隠れた。 用心深くあたりをうかがいながら、玄関に消える人物がいる。 細いシルエットは、女性のものだ。 それにこの気は・・・・・・。 「・・・・・・」 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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