ADB〜地脈の魔物〜小説A
小話〜C.C.〜恋人関係事情
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マーチコーポレーションの一件から、二週間が経過した。

 激動の二週間だった。
 マーチコーポレーションとの吸収合併の契約。建物の視察。社員の人数を把握をし、裏の営業もすべてひっぺかして洗いざらい整えている段階だ・・・・・・。
 多忙の中、ルンルンが病院で意識をとり戻し、孤児院兼学校についての計画も立てていかなければならないと思う。
 

 いそがしさの合間をぬって、やっとこさ休日をとることができた朝。
 朝食を食べていると、ブルマが「うっふっふっ!」とからかうように、トランクスににじり寄ってきた。

「トランクス、今日、ルンルンさんが退院してくるわねぇ♪」
「え? ええ、そうですね」
「迎えに行くんでしょ?」
「その予定です」

 コーヒーを飲んでいたトランクスは、壁掛けの時計で時間を確認した。
 なんせ、彼女が入院している病院からアジトまで、ずいぶんと距離がある。

 自分がその病院を選んで、気を失っている彼女を入院させたのだから、アジトまで送るのが筋だろう。

「キケンではないと思いますが、送り先はアガサのアジトですし、念のため俺が送迎してきます」
「ふぅーん。へえー・・・・・・で?」
 
 ブルマは目をキラキラさせながらコーヒーを口に含んだトランクスに横顔を近づけた。

「あんたたち、いつ結婚するの?」

 あまりの(精神的)衝撃にトランクスは盛大のコーヒーを噴き出した。 そのままゲホゲホむせかえりながら、濡れた両手をテッシュの方に伸ばす。
 テーブル全体に飛び散りはしてないが、せっかく着替えた服がベタベタだ。ついでに熱い。

「い、いきなり何を言い出すんですか!」
「だって、ルンルンさんが言ってたんですもの〜。わたしの孫を産んで良いかって」

 ブルマが自分の顔を指さしがら言う。

「は、初耳ですよ。一体いつそんな話しを・・・・・・」
「ルンルンさんがひとりで人造人間と戦いに行った時よ。わたし感動しちゃったわ〜。涙よ。涙」

 ブルマは目尻をぬぐう仕草をしてから(涙はでていない)、「で? で? あんたたち、いつから付き合いだしたの? そう言う話しはもっと早く教えてくれなきゃ! 結婚式はあげなさいよ!わたしの憧れなんだから!」と容赦なく追撃してくる。

 息子のプライベートにここまで突っ込んでくるのは、母さんぐらいですよ!


と、言いたい。


 言いたいが、この勢いのブルマに勝てる自信など、トランクスにはない。

「あ! お、俺、そろそろ病院の方へ行ってきます! 着替えないと行けないですし!」

 あたふたと目の前の食パンを、口の中に押し込むともぐもぐしながら逃げていった。
 
 早々に逃げ出した息子の背中を見送ったあと、ブルマは放置された使用済みティッシュと、ろくに食べてない皿の上の料理を見ながら「へえ〜!」と感心たようにうなずいた。

「カマかけてみるものねぇ。ルンルンさんのジョークだと思ってたんだけど」

 ブルマはぷっと噴き出した。

「おっそい思春期ねえ」

  
***

 ブルマから逃げ出したトランクスは、服を着替え直すとエアカーに乗りこんで「はあああ!」と息をついた。
 エンジンも点けずに、ハンドルにおでこをのせる。ブルマの攻撃にタジタジしたが、ああ、そうか、と思う。

(仕事ばかりで考える余裕がなかったけど、俺、ルンルンさんと、こ、恋人関係になったんだ。)

「、、、、、」

 トランクスは熱くなったほおを軽くはたくと、エアカーのエンジンをつけた。






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