1/12ページ目 今日はデートと言われて心はしゃぐナナは、どう考えても一日ぶんではない荷物を前夜のうちに用意させられますます心がはしゃいだ。 つまりは、お着替えやなんかを用意させられたのである。 「もしやお泊まりですか?」と聞きたいのだけど、主従関係が続行中のため安易に質問は投げ掛けられない。 「何してんだ?行くぞ?」 「あっ、はっ、はいっ!」 ご主人様のときでも、薔は当たり前のように彼女の荷物を持ってくれた。 ここは持っていただいてもいいものなのかどうか戸惑うナナは慌てて、差し伸べられた手を取る。 一見したところは完全なるデートでなければならず(完全なるデートだけど)、普通に手は繋ぎます、恋人繋ぎで。 「あああのっ!……ご主人さまっ!」 「あ?」 キョロキョロしてみたナナはまだリビングでふたりっきりの状態なので、照れながらも呼び方はご主人様にした。 ドアを開けようとしていた薔は手を止め、彼女を見る。 ナナにはどうしても気になって仕方がないことがあったので、思い切って彼に尋ねてみた。 「花子ちゃんと豆ちゃんはどうするんですか!?」 と。 荷物の量がお泊まりを匂わせているためやはり一番に気になるところではある。 「ああ、花子と豆なら今朝、おまえの両親が迎えに来て連れて行った。」 「えええええ!?わたしぜんっぜん、知りませんでしたけど!」 「まだ寝てたからな。」 あっさりと返した薔は抜かりなくナナ母とナナ父にわんこたちのことを頼んでいたようで、まだ寝ていたから気づかなかったとかそれ以前の自分の気づきにくさにもナナは驚きつつ気配りができる彼には惚れ惚れしてしまった。 ナナ母は主にイケメンを拝める喜びと共に迎えに来て、ナナ父は愛する妻と散歩できる喜びとわんこを堪能できる喜びと共に迎えに来たのだろう。 「起こしてくださればいいものを…!」 「寝顔が可愛すぎて起こせなかったんだよ。」 「きゃわーっ!」 ちなみに、寝顔が可愛すぎて起こせない旨を伝えられたナナ母は素直に感心し、ナナ父はそりゃそうだと涙ぐんだ、ふたりともそれぞれに親バカだった。 「そういや、あの寝顔にキスしたかったな…」 くすっと笑った薔は彼女の手を引っ張り、引き寄せた。 「え…っ?」 今は寝顔ではないにも拘わらず、キスされてしまいそうでナナの鼓動は跳ねる。 そして案の定、 ちゅっ…… 出掛ける前にしばし、キスを交わすことになった。 舌を絡めずに、くちびるだけゆっくりスライドさせてくっつけあうキスを。 「ん……」 ドアノブから手を離した薔はナナの頬を愛撫して、時折とても優しい力加減でくちびるを吸った。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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