※※第346話:Make Love(&Perv).210
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 濃厚だった夜と、濃厚には残念ながらなれなかった夜が明けて、日曜日の朝がやって来た。
 天気予報では、一日を通して晴れとなっている。

 萌は緊張のあまりしばらく眠れずにいたのだけど、だんだん睡魔が訪れてくれたようで、丑三つ時には眠りに就けていた。
 彼のベッドは寝心地自体はとても良く、綾瀬は傍らのソファで眠っているのだからさすがにここまで来て襲うような勇気を持ち合わせてはいないだろうという安心感も多少なりともあった。
 そのせいなのか、眠れずにいたぶんを補おうとしているのか、萌は寝息も静かにぐっすりと眠っていた。




 綾瀬は昨夜の残り物をたくさん冷凍してあるにも拘わらず、それらは朝食にはいっさい出さずに朝食はまったく違う手料理を萌に堪能してもらおうと意気込んでいた。
 ローストビーフや唐揚げ、カツ丼、チョコレートケーキやポテトフライなどなど……朝からメニューが重すぎた。

 いちおう目覚ましは5時にセットしてあったのだけど、意気込みが相当だったのか4時にもならないうちに目を覚ましてしまった。
 もう一度眠ろうにも眠れないくらい、爛々とした気分で覚醒していた。



 萌ぴょんがあまりにも静かに寝ていたことで、もしや彼女は病弱で、心臓が弱いことを打ち明けていなかったのではないかと心配になり、そろそろとベッドへ近づいていった。
 じつは心臓が弱い設定ならとっくに、一樹んのせいで夭折していると思う。

 (萌ぴょん……生きてる?)
 心の中で話しかけながら、彼女の口許に耳を寄せてみた。
 すると、よく眠っているのが確認できたと同時に、微かな寝息が耳に掛かった。

 (やだっ……萌ぴょんたら、……大胆!)
 ぞくっとして思わず感じた綾瀬は、眠っている人物に対して故意の疑いを持つ。
 そもそも近づいていったのは君からだよ。

 気づかされたのは、じつは耳が性感帯ということだった。
 不意討ちを食らった綾瀬が若干オネエ化しているが、この際気にしないでおこう。



 震えた彼は薄暗がりの中で、やや息を荒らげた。
 ホラー映画にありそうなワンシーンとなっている。

 ところが、ホラーとはかけ離れた反応を見せている場所があった。
 朝っぱらなので、元気なのは致し方ないかもしれない。



 (ど、どうしよう……)
 綾瀬はもじもじした。
 ここで萌の寝込みを襲えるほどの勇気も男気も野獣魂も、生憎彼は持ち合わせていなかった。

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