1/11ページ目 いつものように授業直前、ナナは親友の席へと向かった。 「ノートありがとう、こけしちゃん……」 恭しく、例のノートを返却のために差し出す。 「もういいのぉぉ?」 味わいたいのならいくらでも借りていてもらって構わなかったこけしちゃんは、ニコニコながらも控えめに手を出した。 「うん、大丈夫……!むしろ申し訳ないくらいで……」 「えぇぇ?」 申し訳ないくらいでと言っているわりには頬を赤らめて、未だ高揚している様子のナナはきちんとノートを手渡してからいそいそと席に戻った。 何が申し訳ないのかとキョトォンとしたこけしちゃんは、衝撃的な言葉を残されていった。 「完全に再現したわけじゃ……なかったから……!」 と。 それは書いている本人には、わざわざ報告しないほうが良かったような、報告したほうが悦かったような。 (再現したのぉぉっ!?) こけしちゃんは思わず、ナナを追いかけて詳しく聞き出したくなった。 鎧×薔を再現と言うのであれば、夕月の代役がナナだと想像はつく、となると攻守の方程式は否応なしにナナ×薔となる。 こけしちゃんも羨ましがるしかない、夢のナナ攻めが自分のノートを使って完全にとはいかないまでにも再現されたとは、まさに夢のような話だった。 (てことはぁ、要先生ぇにとってぇぇ、最強のライバルがナナちゃぁん?……でもぉ、実質ナナちゃぁんは薔くぅんの恋人だしぃぃ……このままだと要ルートが絶たれちゃうぅぅ……) 悶々としたこけしちゃんは、実質自分が要先生の恋人なのだけど、そのことを今、考えていられる余裕がなかった。 要先生には、鬼畜で眼鏡で男前で総攻めでいてもらわないと困るのだ(※ゾーラ先生が知ったら眼鏡の下で泣きます)。 (もぉうぅ。要先生ぇったらぁ、何を出し抜かれてるのぉぉ?ここは是非ともナナちゃぁんを見習ってぇ、自分も再現してみなきゃダメじゃぁん。) やがてこけしちゃんは彼氏を、あっちの世界で激励したくなった。 興奮しているせいか、あっちの世界と現実がごちゃ混ぜになってはいるが、こけしちゃんはナナ攻めにも萌えるので美味しい思いができればそれが最善だった。 再現のためにノートを多少なりとも薔に読まれたのだろうとか、そういうのはこの際ポジティブにしか気にしていなかった。 ナナは意外にも勇敢(なのか?)で、度々、受けである彼にばれてはいるもののこけしちゃんはいつも萌えを堪能させてもらっている。 ばれるのはいっそ大歓迎だった、焼却とかされたりしないのならもうぞんぶんに。 この頃、もうすぐ授業が始まりそうだと言うのに悪寒を感じた薔は、眼鏡をぶち割りたくなった。 よって、わけがわからないまま最大の恐怖を感じたのはゾーラ先生だった。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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