1/11ページ目 新学期初の土曜日であるその日、こけしちゃんはニコニコとナナに尋ねた。 「今ぁ、改めてナナちゃぁんに聞きたいんだけどぉ、薔くぅんのどういうところが好きなのぉぉ?」 と、あまりにも突飛すぎる質問だった。 気になったからではなく、ちょぉっと面白そうだったので親友をからかってみただけである。 「えええええええっ!?」 突然の恥ずかしい質問に、ナナは真っ赤になった。 昨日部室でエッチしてしまったことを思い出して、余計に恥ずかしくなる。 「こけしちゃん、それって、どのくらいのお時間をいただけるの!?」 「えぇぇ?」 次にナナは語れる時間の制限についてを聞き返した、そうこられるとは思ってもみなかったこけしちゃんは目をぱちくりさせる。 「や、休み時間だけじゃ足りないから授業の時間もいただかないといけないんだけど……そうしていくと薔の部活に間に合わなくなっちゃうし、薔と一緒に帰らなきゃいけないから今日だけじゃ足りないし……とにかくきりがないんだよ、どうしよう……」 本気で頭を抱えるナナは詳細に語るつもりでもいるのか、時間が到底足りない旨をばか正直にこけしちゃんへと伝えた。 明日の時間も割いてもらおうにも、日曜日なので否応なしに彼との部活が最優先となる。 彼の前で語るのは最も恥ずかしい羞恥プレイだった。 「……ナナちゃぁん、もういいよぉぉ?ごめんねぇ?」 「ええっ!?聞いてもらえないとなるとそれはそれで、やるせない……!」 にっこにこと悟ったこけしちゃんは席へと戻り、いつものように男同士で妄想をすることにした。 尋ねておきながら聞いてもらえなかったナナはとたんに、やるせなくなる。 とは言え、それも束の間のやるせなさで、 「おい、ナナ、」 彼女はいきなり背後から堂々とした声を掛けられた。 「俺ならいくらでも時間やるから、語っていいぞ?」 無論、休み時間になれば彼氏は会いに来てくれるのである。 おそらく薔は冒頭から、会いに来てはいた。 「ご本人さまの前で語るのは、恥ずかしすぎますよっ!」 「つっても、俺の前で語るのがベストな内容だろ?」 「やですーっ!恥ずかしいんですってばーっ!」 ナナはますます真っ赤っかとなり、薔は容赦をしない。 最初に尋ねたはずのこけしちゃんはもう、妄想であっちの世界へ羽ばたいていた。 受けの声が聞こえてくるため、休み時間は妄想にはうってつけなのであった。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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