1/11ページ目 萌は朝から怯えつつ、多少のときめきを覚えていた。 無論、起きたらいきなり一樹んの恋のステータスが“好き”になっていたことにはときめいていた、がしかし送られてきた内容がホラー寄りというかヤンデレ寄りとなっており、怯えざるを得なかった。 ホラー映画が大好きな男なので、ホラーな展開についてはじゅうぶんに心得ていそうで恐くはあったものの、ヤンデレ一樹んを拝んでみたいという気持ちも芽生えてはいた。 萌もホラー系は大好物なため、自分が実際に味わうとなるとどんな感じなのだろうかと、興味はあった。 それでも萌は何と返したら良いのかわからず、既読無視の形となったまま学校に来ていた。 今日はあの憎きお兄ちゃん(一樹んのお兄ちゃん)をストーカーしようにも、そんな気になれなくてひたすらドキドキしていた。 最近の萌はすっかり雰囲気が恋する乙女で、気に入らないあかりはイライラして只今入院中の兄に八つ当たりをしたくなっていた。 そんなこんなでいつものように、平和な一日となった。 ――――――――… 「へえ、葛篭先生の旦那さんはイタリア人なんですか!かっこいいですね!」 綾瀬兄は保健室に、入り浸っていた。 学校の中をさすらいすぎて、おまけにこの学校に密かに存在するらしい地下について色んな噂を耳にしすぎて、もはや何を探していたのか見失っていた。 数学準備室を完全に見失っていたときにちょうど、砂漠のオアシスのごとく保健室が現れた、というか見つかった。 「いや、あの……まあ、かっこいいですけど……」 絶賛夫の子供を妊娠中の葛篭は、デレデレとのろけている。 黙っていればかっこいい、といった表現は特に用いなかった。 「しかも年上なら頼りになりますよね、僕もそうです!」 「そうなんですか、綾瀬先生の奥様は年上なんですね。」 「いえ、僕が年上です。僕が頼りになるという意味です。」 「はあ……そうですか。」 年上は頼りになると綾瀬兄は自分にも置き換えて同感し、妻が年上だから頼りになるという意味なのだと勘違いした葛篭先生はいきなりのナルシストにちょっと呆れた。 初期では葛篭先生もナルシストな部分があったが、自虐的な意味も含まれていたため、生粋のナルシストには素直に引いた。 「ところで先生、醐留権先生には会えたんですか?」 「えっ!?僕が探してたのって、醐留権先生でしたっけ!?」 「そうですよ、ずっと追いかけてたじゃないですか。」 「なるほど、僕は醐留権先生を探していたのか!ありがとうございます、葛篭先生のおかげで当初の目的を思い出せました!」 やがて、葛篭先生の勘違いにより、綾瀬兄は当初の目的である数学準備室を忘却の彼方へ放った。 ということで気を取り直し、醐留権先生を追いかけることにした。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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