1/12ページ目 綾瀬先生はまだ、数学準備室の場所を見つけられず学校の中を彷徨い歩いていた。 音楽準備室や化学準備室など、けっこうな数の準備室を発見していてもお目当ての数学準備室だけがどうしても見つからなかった。 ついでに言うと、醐留権先生とも全く顔を合わせられていなかった。 醐留権は綾瀬兄をずっと迷子にさせておくために、常に颯爽と廊下を歩いていた。 それでも廊下で生徒に声を掛けられた場合は極力丁寧な受け答えを心がけていたが、いかんせん綾瀬先生は鬱陶しかった。 ゾーラ先生は切実に、普段登場がほとんどない紺野先生のカムバックを望んでいた。 「今日もお兄ちゃぁんとはぁ、会えてないなぁぁ……」 早くも呼び方を、親しみを込めて「お兄ちゃん」にしているこけしちゃんは、綾瀬兄にぞんぶんに弟ラブな気持ちを語ってもらいたくてやきもきぃしていた。 弟×兄の妄想のためにも、詳らかに話を聞きたいと思っている。 それでもすでにノートを広げているこけしちゃんは熱心に、要×薔の妄想を繰り広げようと思っていた。 「こ、こけしちゃん……ちょっといいかな?」 そこへ、ナナが声を掛けてきた。 ほとんど授業寸前で、彼氏は教室に戻っている。 同じクラスでないことをめちゃくちゃ嘆いていたヒロインだが、新学期初日に教室でエッチできたのがたいへん励みになっているようだ。 「いいよぉぉ?」 もう授業始まるけどぉとかは指摘せず、こけしちゃんはニコニコと応えてくれた。 昨日は放課後何してたのぉぉ?という野暮な質問も、投げ掛けない。 「こけしちゃんは、あの、その……男のひとを襲うプロだよね?」 そしてナナは恥ずかしそうに、問いかけた。 「男の人に男の人を襲わせるのはぁ、プロフェッショナルだよぉぉ?」 にっこにこのこけしちゃんは、一部足りない表現を補いつつ、優しく返した。 ナナの表現だと、毎回のようにゾーラ先生を襲っている肉食系女子になってしまうが、それは愛羅である。 こけしちゃんはあくまで、男に男を襲わせるプロフェッショナルなのだ。 「そうだよね!だからこけしちゃんに、教えてほしいことがあって……」 「なにぃぃ?」 急にもじもじしだしたナナは同時に、喜んでいた。 ついにナナちゃぁんも執筆に励むのかなぁぁ?と思ったこけしちゃんは、ウェルカムすぎて両手を取り合いたいくらいだった。 彼氏があんなにも申し分のない素晴らしき受けなのだから襲わせたくなるのも無理はないぃ、と、思ったりもした。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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