※※第330話:Make Love(&Tact).200
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 こけしちゃんはあからさまにご機嫌だった、ちょうど醐留権も急遽休みが入り、彼女をデートに誘おうかどうか悩もうとしていたときに彼女からデートのお誘いが来た。
 無論、速攻で快諾した。

 ふたりきりのデートとなるとちょっとお久しぶりなのか、とりあえず入ったカフェでまったりラブラブタイムを楽しもうとしていた。
 こけしちゃんは抹茶ラテ、醐留権はエスプレッソを頼んでいる。


 「ゾーラ先生ぇ、……じゃなくてぇ、要先生ぇぇ……」
 「な、何だい?」
 瞳をキラキラァァと輝かせているこけしちゃんは、思わず彼氏がドキッとしてしまう呼び方に変えてまで、口にした。

 「ヘタレに出し抜かれちゃったねぇぇ?」

 と。
 どういうことかと言うと、2話ほど前に、上半身裸の薔が屡薇を無下に扱ったということである。
 めくるめく腐的な世界を目の当たりにしてしまった真依はよりによって、昨夜こけしちゃんが彼氏をデートに誘ったあとにそのことをご報告してきたのだ。

 腐が足りなかったはずのこけしちゃんはたちまち、腐にめくるめいてしまった。




 「……またそれか、今日はもう三度目だぞ?桜葉……」
 すでに二度言われていたらしいゾーラ先生はエスプレッソのカップで眼鏡を割りたくなり(※ゾーラ先生の眼鏡を割りたくなっていいのはおそらく薔だけ)、要先生呼びをされた時点でだいたい察しがついた。
 意味はぜんぜんわかっていない。
 「だってぇ、要先生ぇの大ピンチだしぃぃ……」
 彼の大ピンチと言葉にしていても、こけしちゃんはたいそううっとりぃしている。
 ここまで来るとゾーラ先生も、だんだん気に入らなくなってきた。

 エスプレッソよりだんぜん、彼女の脳内が彼にとってはビターだった。


 「ほう……私はその大ピンチを、どう乗り切ればいいんだい?」
 「薔くぅんを無理矢理さらってぇ、監禁かなぁぁ?」
 「……すまない、からかおうとした私がばかだった……」
 醐留権は意地悪心で彼女をからかってみたところ、本気の妄想で返されたじろいだ。
 生徒を無理矢理さらって監禁など言語道断だと思っているゾーラ先生は、本日、生徒とデートをしており最終的にはいかがわしいことをする気満々でいる。
 すなわち、こけしちゃんの妄想はそこまで言語道断ではない、たぶん。



 カフェは落ち着いた雰囲気で、誰の会話の邪魔をするわけでもなく軽やかな音楽がほのかに流れていた。
 結局のところ、ふたりはラブラブタイムをじゅうぶんに満喫していた。

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