※※第327話:Make Love(&Cuddle).198
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 守りたいのも、壊したいのも、この世にただひとり。

 守られたいのも、壊されたいのも、この世にただひとり。















 カップルたちで揃って旅館デートの後としては初めてのお泊まりに、真依は訪れていた。
 しつこく誘われたから仕方なく来ただけで明日が休みでなかったら絶対に来ていなかったし(真依の言い分)、彼と目を合わせるのもドキドキして落ち着かないので正直居心地が悪い(後半は真依の言い分)。


 「あのあと綾瀬とはどう?個人情報をむやみに聞き出されそうになったりしてない?」
 元ストーカーから元が取れてしまう疑惑が遊園地の件で勃発したため、屡薇はその確認も踏まえて今夜はお泊まりに誘っていた。
 綾瀬が送ってきた写真に一緒に写っていた女の子が勤め先の美容院にまで来て、けっこういい感じになっていたことはまだ彼には報告していない。

 「ああ、うん。特に何も……」
 俯き加減に答えた真依は、ソファに並んで座っている距離がやたらと近いと思っている。
 ラブラブなカップルならまだしも……と呆れてすらいるが、ふたりは只今ラブラブしている最中のカップルなのである。
 違和感はひとつもない。


 「最近、綾瀬くんとはLINEしてないし……」
 「え!?それって逆に怪しくね!?」
 萌という最高の友達に出逢えた綾瀬は最近はもっぱら萌で、兄の愚痴も全て萌なので、真依とはほとんど連絡を取っていなかった。
 逆に怪しむ屡薇はまだ知らない、あっちはあっちでちょっと縺れたりしながらもいい感じになっているということを。

 「綾瀬のやつ何か企んでるのかもしんねぇよ?……とりあえずスイカ食いながら作戦会議だな。」
 「スイカ!?」
 真剣な表情になった屡薇は彼女が好きな様子だったスイカを一玉買ってあり、バケツに入れてバスルームで冷やしていた。
 男らしくカットしてやろうと意気込んでいるが、真依はエッチなことをするのではないかと最初勘違いした。


 「スイカはいいよ、要らない!」
 「え〜、とっておきの一玉を用意したのに。」
 「そういうことかあ!一玉ね、わかった!スイカは一玉じゃないと困るよね!」
 全力で却下したい真依と残念がる屡薇は、卑猥な会話を交わしているのかがよくわからない。
 がしかし、一玉と聞いて真依は心底安堵した、一つだけだとなぜこんなにも健全なのだろう。


 「あ、真依さんもひょっとして、予めカットされてるスイカには食指が動かねぇ派?」
 「全然違うんだけど……良かった、屡薇くんがアホで……」
 「俺、アホかな?まあ真依さんがアホで良かったって思うんならそれでいいけど。」
 スイカは玉で買いたい派の屡薇はテンションが上がり、アホと言われたあとも陽気に笑っていた。
 このひとは真性のアホなのだと、真依は感激していた。

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