1/11ページ目 「わああ、美味しそうです!」 ナナは特に誕生日でもないと言うのに、テーブルの上に置かれた大きなホールケーキを目の前にしていた。 たっぷりの生クリームを身に纏い、真っ赤なイチゴで規則正しく飾られたショートケーキだった、市販のものではなく彼の手作りである。 宿題をはかどらせたご褒美として、薔はごく簡単に豪華なケーキを作ってくれた。 やけに神々しくてケーキの全体像は光に包まれているようにすら見える。 「全部おまえのだぞ?ご褒美だからな。」 テーブルを挟んだ真向かいに座っている薔は頬杖を突いており、楽しそうに笑った。 「薔も一緒に食べましょうよ!あと、薔は誰よりもいいお嫁さんになりますよーっ!」 ご褒美と言えども一緒に食べたくてお誘いしたナナは、彼氏の褒め称え方が若干おかしくはある。 「誰よりもいい嫁になるのはおまえだろ?」 「それは……そうでした、えへへっ……」 彼女の若干おかしな褒め称えを遮らなかった薔はきっぱりと返し、素直に照れたナナはいつの間にかフォークを手にしていた。 普段あまり使う機会はない、銀色ではなく金色のフォークだった。 「さっそくいただいてもよろしいでしょうか?」 涎を垂らしそうな勢いのナナは、もう待ちきれなくなっている。 「その前に、おまえの本心を聞かせろ……」 「えっ?」 すると妙に色っぽい視線を送りながら、彼は問いかけてきた。 声色も妙に甘くなっていて、ドキッとしてしまう。 「ケーキと俺、どっちが欲しい?」 どうやらご褒美には最強の選択肢が存在していたようだ。 相変わらず彼の色気攻撃は半端なく、ナナは鼻血を出すかと思った、ヴァンパイアなのに。 「薔に決まってるじゃないですか――――――――っ!」 ナナは即答した。 貪欲に「薔とケーキ」をねだっても良さそうなものを、潔い彼一択で迫った。 その瞬間、あんなにも大きかったケーキが真っ白な煙となり宙に浮き上がっていった。 「あ……ばか、俺にフォークを向けんなよ……」 「すみません!このフォーク素晴らしいですね!」 ナナは身を乗り出しただけで、フォークにシャツを引っ掛けはだけさせることに成功した。 床に押し倒された薔はやはり、色っぽい表情で色っぽい声を上げる。 ちなみにこけしちゃん小説の世界ではない。 「ナナ……もっとゆっくり……」 流れるような視線で見上げた彼は少し髪が乱れて、綺麗な乳首が露になっていた。 息を荒らげたナナはいただきますと言わんばかりに、その胸元に吸いついた。 「…――――――あ…っ……」 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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