※※第322話:Make Love(&Make Love!).22
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 「せめて電話には出たまえ……探してもいなかったから心配しただろう……」
 旅館に着いた醐留権は一足先に到着していたカップルの部屋を執拗にノックして、とてつもなく険しい雰囲気の彼氏のほうだけ呼び出すことに成功した。
 こけしちゃんからそれぞれのカップルの彼女のほうに連絡を入れて待ち合わせをしたのに、メインカップルだけ来なかったため今度はゾーラ先生が薔に何度も電話をし、ことごとく無視をされた。
 もしやこっそりチェックインを済ませているのでは……?と思い、旅館に向かったら案の定だった。

 「生徒と二人きりになりたくて途中から自由行動を言い出した下劣な教師に、つべこべ言われる筋合いはねえ。」
 「ま、まあ、それは、その通りなのだが……」
 教師として説教をするはずが逆にごもっともな内容で説き伏せられ、醐留権は口ごもる。
 自分たちの部屋のドアを閉めずに、耳をそばだでて一部始終やりとりを聞いているこけしちゃんは、キュンキュンしてしまって堪らない。

 「それから、静かにしろよ?ナナが疲れて寝てんだよ。」
 「そうか、三咲は疲れて寝ているのか……それなら良かった……」
 薔は何か聞かれる前に先手を打った、ナナは疲れて寝ているのだと自ら説明してみせた。
 彼女が遊び疲れてしまったから休ませるために先に旅館へ向かったのかと、醐留権はすんなり納得し安堵する。

 まさか旅行に拘束具を持ってきているとは夢にも思っていないので、とは言っても海辺デートの際にはちゃっかり手錠を持参してきておりました。




 「ところで、私にはミッションが課せられているのだが、切り出してもいいだろうか?三咲が疲れて寝ているのならちょうどいいと思うのだが……」
 「あ?」
 突然、極力声を潜めながら醐留権はとっぴな話を持ちかけた。
 さっきからずっとピンポイントで眼鏡を狙われている気がして、さりげなく手で目元を覆っているものの感じ取れる殺気は凄まじい。

 「一緒に、温泉へ入ろう。」

 眼鏡を狙われていても醐留権はミッション遂行のために、男気を振り絞った。
 他にいないとも思われますが、ミッションを課したのはもちろんこけしちゃんです。
 おそらく、ゾーラ先生がいかがわしい何かを持参してきていることを知り、夜に乱れてあげる交換条件としての男同士で男湯かと。



 刹那、殺気だけで容易く眼鏡をぶち割れそうな勢いになった薔はただちに、ドアを閉めた。
 オートロックがスマートに掛かり、醐留権は廊下に取り残される。

 「……眼鏡が割れるかと思った……」
 キリッとした表情になったゾーラ先生は守っていた目元から手を離し、無言の拒絶を受けたために潔く部屋に戻った。
 こけしちゃんにとっては彼氏の眼鏡がいかなる危険にさらされようとも、逐一パラダイスだった。

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