1/14ページ目 こけしちゃんの計画通り、一同はまず遊園地デートに来ていた。 チェックインは18時を予定しておりアトラクションと列に並ぶ間を楽しむ時間はじゅうぶんある。 今回はオフと重なったため屡薇が遅れて参加もなく、初めから見事なクアドラプルデートとなっていた。 眼鏡に対しての殺気をひしひしと感じている醐留権は失明すら垣間見えて、思い切ってコンタクトにして来なかったことをひどく後悔していた。 「ゾーラ先生ぇ、薔くぅんのほうをちぃっとも見ないけど何かあったのぉぉ?痴話喧嘩ぁぁ?」 「桜葉はこの凄まじい殺気を感じていないのか……それは良かった……」 殺気を生み出した発端者であるこけしちゃんはおっとりと確認し、発端者だと知らない醐留権は彼女のおっとり具合に安堵する。 こけしちゃんの強靭な精神は、眼鏡に対する容赦ない昨日の脅し文句をすっかり忘れ去られているようだ。 「わたし、ずっとあれに乗っていたいです……」 ほのぼのとメルヘンチックでずっと何とかできるアトラクション、それすなわちメリーゴーランドを眺めながらナナはぽつりと呟いた。 願わくは薔と一緒に乗って、白馬の王子様とラブラブ的なメルヘンを堪能したい。 迎えに来るわけではなく、初めから姫を捕まえているそれはそれは麗しの王子様とメリーゴーランドで一日中いってしまいたかった。 メリーゴーランドには絶叫がないのも魅力のひとつである。 ちなみに、お盆休みなので旅行の前にはしっかり展墓もして、わんこたちはばっちりナナ宅に預けてきた。 前日にお願いされてもナナ母はイケメンのお願いならもちろん快諾するし、ナナ父はわんこのことならもちろん快諾する。 「おまえが望むならそうするか。」 「わあっ!ありがとうございます!」 とにかく他の連中と別行動を取りたくて仕方ない薔は白馬の王子様についてあっさり了承し、ナナはめちゃくちゃときめいた。 がしかし、それだと別行動になるとわかりきっている周りは、王子とメリーゴーランドメルヘンは何とか阻止しようと躍起になった。 「ナナちゃぁん、次はお化け屋敷だよぉぉ?」 「ラブラブできるチャンスだよ!」 「ここのお化け屋敷、面白いって評判だから!」 「えええええ!?お化け屋敷!?」 こけしちゃんと愛羅と真依は手っ取り早いところで、ナナへの説得を試みた。 “お化け”と聞いたナナはたちまち、青ざめる。 「薔っ、わたしお化け屋敷はやです!怖いい!」 半泣き状態になったナナには逆効果だったようで、ますますメリーゴーランドでやり過ごしたくなった。 しかしながら、泣きそうになって怖がっている彼女があまりにも可愛すぎて、この懇願によりお化け屋敷を選ばない手は薔の中に存在しなくなった。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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