※※第320話:Make Love(&Sex aid).42
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 「俺、ファミレスじゃなくて居酒屋が良かったな……」
 明日からはいよいよお盆休みの夜、作戦会議に参加しているカップルはもう一組増えていた。

 「屡薇くん、高校生もいるんだから居酒屋はダメに決まってるじゃん。わがまま言わないの。」
 「は〜い。」
 屡薇と真依である、無論メインカップルではない。
 呆れ気味の真依はいきなりの姉女房気質で、素直に返事をした屡薇はメニューを眺める。


 「その通りだ、高校生を連れて居酒屋は駄目に決まっているだろう。」
 「いやもう俺、真依さんに諭されてんだから余計なお世話……」
 「なんだと?」
 けしからんと思った醐留権も諭しには入ったが、その必要もなく屡薇はすでに愛する彼女に諭されていた。
 その、高校生を連れて行くのは駄目だと言っている居酒屋に、わざわざ生徒を呼び出した高校教師このなかにいるけど。
 醐留権先生が。

 「先輩、最近あの二人仲良すぎません?」
 「それはばぁっちりぃ、感じてますぅぅ……ほんとはライバル同士のくせにぃぃ、……萌えるったらありゃしないぃぃ……」
 腐のつく乙女たちは揃ってドリンクバーのミルクティーを飲みながら、惚れ惚れとした。
 こういう集まり(というか会議)があると、男同士のイチャイチャ(してないけど)が見られるのも腐得なものだ。


 「こんなに呑気にしてていいのかな?今夜中に薔くんを誘っておかないと三咲さんにはもう会えないかもしれないんだよね?」
 デマを流した張本人なりにか、羚亜は切羽詰まっている。
 「まあまあ、羚亜くん。今日はチョコレートパフェでも食べて落ち着きなよ。」
 「わあ、美味しそう!」
 彼氏をなだめるためにも愛羅は甘味を勧めて、食いついた羚亜はチョコレートパフェが優先となった。
 この単純さが面白くて、愛羅はできることならミント増し増しとかで注文をしてあげたい。


 「ねぇ、ゴルちゃん、ビール飲んでもいい?」
 メニューから顔を上げた屡薇は、なぜか彼女にではなく醐留権に尋ねた。
 「なぜ私に訊く?」
 鬱陶しいと思ったゾーラ先生の眼鏡の輝きは、鋭くなる。

 「だってゴルちゃん、先生だしさ、アルコールとか厳しそうなんだもん。」
 「生徒でもない21歳の男性にそんなことを確かめられても、気持ちが悪いだけだ。飲みたいのなら構わず注文すればいいだろう。」
 「ひど〜い、この先生ひどいよ〜!俺を気持ち悪がっていいのは薔ちゃんだけなのに!薔ちゃんの特権なのに!」
 醐留権としては、普通に成人している男性にそんな判断を任されても気持ちが悪いだけだった。
 いつからそんな要らない特権が、薔に与えられていたのだろうか。

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