2/11ページ目 「よし、俺の嫁、」 「ななななな何でございましょう!?」 俺の嫁呼びをつづけられたナナはさらに真っ赤となり、フォークでふわっふわのパンケーキを一片切った薔は彼女を見上げて言った。 「ちゃんと宿題できてて偉いな?ご褒美だからあーんしてやる。」 と。 少し首を傾げて見上げているのが、パンケーキ以上に甘そうだった。 しかも、別のことで悩み宿題はそっちのけにしていたというのに、褒めてもらえた。 「ありがとうございます!旦那さまぁぁあ!」 涙ぐんだナナは反射的に、嫁と呼ばれたために「旦那さま」と返した。 旦那“さま”なのは、鉄則であります。 まさか旦那さまで来られるとは思っていなかったようで、首を傾げたままキョトンとした薔は次に彼女から目を逸らした。 「……すげえ嬉しいけどくすぐってぇな……」 しかも彼はどう見ても、照れていた。 「わたしは恥ずかしすぎましたーっ!あと薔は可愛すぎましたーっ!」 ナナは自分で言った言葉に自分で一驚して、仰け反りそうになる。 「まあ、恥ずかしいの大好きだしな、俺の嫁は……いつも可愛すぎるのも俺の嫁だけだ。」 「続けるんですか!?心臓もたないですよ!」 俯いた薔はパンケーキの隅っこに、ちょっとだけホイップクリームをつけた。 照れ隠しのために、ホイップクリーム増しにしました。 「じゃあ、いったん止めるか……俺もかなり恥ずかしい……」 「恥ずかしがってる薔は可愛すぎて困ります!薔を恥ずかしがらせるのだけは、続けてもいいです!」 「やだ。」 「やだーっ!?」 彼を恥ずかしがらせるのだけは続けてもいいとますますばか正直になったナナは結局、やだ返しに萌えることとなった。 形成逆転は「やだ」で一蹴された。 「それよりおまえ、早く口開けろよ。」 「あっ、はい……いただきます……」 これからあーんをしてもらうところだったナナは急にかしこまり、そろそろと口を開けた。 彼が口を開けろと命じてくるのはやはり、そこはかとなくエロい。 薔は丁寧に彼女の口許へパンケーキを運び、食べさせた。 「んーっ!んんっ!」 もぐもぐしながらナナは「甘い!」と喜んでいる。 溶けかけのバニラアイスが蕩けて、ホイップクリームとの相性がさらに良くなっている。 そこに混ざるベリー類の甘酸っぱさがまた、美味しくて堪らなかった。 同じものをナナが作ろうとしたらおそらく、真っ黒な塊になるだろう。 「もっとください!」 「相変わらず欲しがりだな。」 身を乗り出してせがむ彼女が可愛すぎて薔は失笑してしまい、パンケーキを綺麗にフォークで一片切り分けた。 クリームに乗ったベリーたちはどれも、瑞々しかった。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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