※※第343話:Make Love(&Impatience).208
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 ナナは昨夜からやたらドキドキしていた、セックスの最中に彼が囁いた言葉が気になって仕方なかったからだ。

 (あ、あれは……どういった意味なのでございましょうか……?)
 と聞きたくても本人には聞けないため、心中でずっとムラムラしている。
 聞いてしまうと意地悪をされて中止になっては非常に困るし、ひたすらそのときを待っているのが賢明だと思われた。



 「こけしちゃん……昨日返したノート、もう一回借りてもいい?」
 「そぉんなに気に入ってくれたのぉぉ?嬉しいなぁぁ。」
 それでもナナはちゃっかり、参考文献としてこけしちゃんの例の禁断のノートを借りておいた。
 授業中に読み返して、内容を改めて頭のなかに入れておいたほうがいいのではないかとも、思っていた。
 快く貸してくれたこけしちゃんは、まさか夜のプレイの参考に使われるとは夢にも思っていない。
 むしろそんな夢のような話を聞かされたものなら、萌えすぎてぶっ倒れちゃう。


 「ありがとう!ほんと助かるよーっ!」
 感涙に噎せそうな勢いで、ノートを抱きしめたナナは席に着いた。
 いつものように、話しかけたのは授業直前だった。
 ナナちゃぁんもいよいよぉ、こっちの世界に来るのかなぁぁ?ああ見えて攻めキャラだからぁぁ……と思っているこけしちゃんはにっこにこで、次の授業は数学だった。

 にっこにこな彼女を見て、綾瀬先生の独り言を比較的長時間聞かされていた醐留権先生は心底癒されたのだった。













 ――――――――…

 参考文献もばっちり手に入れたことなので、プレイまでの出来事は割愛させていただきます。
 ナナはあからさまにドキドキムラムラしていて挙動不審で、見ていてわかる薔はそれを楽しんでいたということで。


 「おまえ、桜葉のノートまだ持ってんのか?」
 「はははははいっ!それはもーう、ばっちり!」
 腹ごしらえや後片付けも済ませてから、薔は特に厳しくもなく彼女に確かめた。
 慌てて畏まったナナは、やはりノートを借りておいて正解だったと感激する。

 「焼却したりはしねぇから、安心して持って来い。」
 「かしこまりましたーっ!」
 普段は焼却したいと思っているのかな?はさておき、命じられたナナは予めソファの下に隠してあった。

 「こちらにございます!」
 「……そんなとこにあったのかよ、」
 しゃがんですんなり手にしただけの彼女を見下ろし、薔はもしかしたら焼却したくなったかもしれない。
 でも今日はそういう日ではなかったのが幸いし、ノートは焼却されずに済んだ。

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