※※第333話:Make Love(&Sex aid).45
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 人生初の、男性の部屋にお泊まり。
 肝心の男のほうは、デートではなくあくまで女子会の延長のつもりだったが。
 というわけで萌は終始ドキドキしていた、パジャマは綾瀬のものを貸してもらい、お風呂に入った後はほとんど生きた心地がしていなかった。

 そして、お開きになったのかと思いきや、ホラー映画大会はまだまだ続いていた。
 ホラー映画を観ながら楽しそうに笑っている綾瀬もお風呂上がりで、パジャマ姿は可愛いし石鹸の香りがするしで萌はなんとなく蛭を食べさせたくなっている。




 「怖いのと気持ち悪いのって、似てるとこがあるよね?萌ぴょんっ。」
 「う、うん。まあ……」
 はしゃぐ綾瀬はもう前髪は長くないのに、ピンク色のリボンの飾りがついたピンで留めていた。
 やはり女子会にはこういう可愛らしいグッズが必要だと思って取り出してきたのか、妙に似合っているせいでまともに目が合わせられない。

 一昔前の綾瀬は顔がよくわからないくらいまで前髪が長くないと落ち着かなかったと言うのに、程よい長さでも人前でわざわざピンで留めることができるほどに心の成長を遂げたようだ。
 萌は前髪が長すぎた時代の綾瀬を知らないものの、ホラー好きなら特に問題はないだろう。


 「あああ、興奮する!今なら死ねるかも!僕ね、死ぬまでに一度でいいからこういうのしてみたかったんだ、お泊まり女子会!」
 抱っこしていた手作りクッションを破かんとばかりに強く抱きしめ、綾瀬ははしゃいでいた。
 発言の要所要所が地味に重いのも、ホラーチックではある。

 「一樹ん、さっきから気になりすぎて血反吐はきそうなことがあるんだけど……聞いてもいい?」
 「いいよ、何?」
 おどおどと声を掛けた萌はうっすらととある疑惑を抱いていた、綾瀬は今夜のお泊まりを「女子会」と捉えていることに間違いはないようで、疑惑は余計に色濃くなる。

 「一樹んて、オネエなの?」

 と、萌はついに尋ねてしまった。
 料理好きで裁縫好き、インテリアなんかも手作りが好きで、極めつきは己を女子だと思い込んでいることだ。
 幼馴染みとの密やかな失恋があまりにもショックで、じつはオネエになってしまったのではないかという疑惑を萌は抱き始めていた。




 「僕、オネエなの!?」
 どうしてそうなったのか見当もつかない綾瀬は驚愕し、クッションをテレビに向かってぶん投げた。
 やわらかなクッションはぽわんと、テレビを愛撫して床に落ちた。

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