2/13ページ目 「わあっ、すごいですねっ!」 ナナは素直に感嘆した、こういう仕組みになっていたとは驚きだった。 「こっちは俺の……」 薔はスマートに自分の薬指へ指輪を嵌める。 お揃いになった瞬間にやけにナナはドキドキして、彼の男らしくてきれいな手を眺めていた。 いきなりのプレゼントが、とても懐かしいことを思い出させようとしている。 「早くこの指が欲しいな…」 悪戯っぽく笑って左手の薬指を優しく撫でたあと、薔は彼女の耳もと、甘い声で言葉にした。 「ナナ?今日は俺たちが付き合って一年目の記念日だぞ?」 「あああああ…!そうでしたっ…!」 ナナは彼のおかげで、今日がふたりにとって特別な日であることを憶い出す。 夏祭りの日はずれても、記念日がずれることは決してない。 「さすがは薔ですねーっ!ありがとうございますーっ!」 「あっ、おい…」 感心しすぎたナナは感謝の大声を上げながら振り向き、彼を見上げた。 一瞬、薔が彼女の振り向きを制止させようとしたのには、ちゃんとした理由があった。 「……っ、」 彼は口許に片手を当て、俯く。 「どうなさったんですか!?お熱っ!?お熱ですかっ!?」 一年目の熱(なんだそれ)を出してしまったのかと、ナナは慌てる。 あと純粋に顔が見たいので、俯いてしまったのは残念すぎた。 「ばか、違ぇよ……」 ぽつりと返した薔は俯き加減で、右手を右手にこつんとしてくる。 彼はどうやら、耳まで赤くして照れているようだった。 「やり方がかなりベタだったなって……思ってんだよ……」 (か〜わいすぎるじゃないの――――――――っ!) おーっ、ぉーっ…(※一年目の果てしない萌えのエコー) 口をあんぐりと開けたナナは、真っ赤っかになっていた。 「だだだだ大丈夫ですよーっ!?なんっにもベタベタしてませんよ!?薔はこんなにお髪も、さらっさらですし!」 昂りながら入れたフォローが、ベタをベタベタと履き違えているためフォローになっていない。 髪のことを全力で褒める形となった。 「……ん、今改めて実感した、おまえと付き合えて俺は死ぬほど幸せだ……」 見当違いのフォローが可愛すぎて、薔は彼女の浴衣をさっそく乱したくなっている。 「死ぬほど幸せじゃなくて生きるほど幸せにしてくださいよーっ!」 「俺が死人だった場合はそっちになるかもしんねえ……」 「はいーっ!?」 ナナはまたしても、言葉の綾がよくわからず見当違いをやらかした。 恋人同士という観点では、じゅうぶんなまでにベタベタしてはいる。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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