※※第272話:Make Love(&Summer festival).166
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 「わあっ、すごいですねっ!」
 ナナは素直に感嘆した、こういう仕組みになっていたとは驚きだった。
 「こっちは俺の……」
 薔はスマートに自分の薬指へ指輪を嵌める。
 お揃いになった瞬間にやけにナナはドキドキして、彼の男らしくてきれいな手を眺めていた。

 いきなりのプレゼントが、とても懐かしいことを思い出させようとしている。


 「早くこの指が欲しいな…」
 悪戯っぽく笑って左手の薬指を優しく撫でたあと、薔は彼女の耳もと、甘い声で言葉にした。

 「ナナ?今日は俺たちが付き合って一年目の記念日だぞ?」











 「あああああ…!そうでしたっ…!」
 ナナは彼のおかげで、今日がふたりにとって特別な日であることを憶い出す。
 夏祭りの日はずれても、記念日がずれることは決してない。

 「さすがは薔ですねーっ!ありがとうございますーっ!」
 「あっ、おい…」
 感心しすぎたナナは感謝の大声を上げながら振り向き、彼を見上げた。
 一瞬、薔が彼女の振り向きを制止させようとしたのには、ちゃんとした理由があった。


 「……っ、」
 彼は口許に片手を当て、俯く。
 「どうなさったんですか!?お熱っ!?お熱ですかっ!?」
 一年目の熱(なんだそれ)を出してしまったのかと、ナナは慌てる。
 あと純粋に顔が見たいので、俯いてしまったのは残念すぎた。


 「ばか、違ぇよ……」
 ぽつりと返した薔は俯き加減で、右手を右手にこつんとしてくる。
 彼はどうやら、耳まで赤くして照れているようだった。

 「やり方がかなりベタだったなって……思ってんだよ……」











 (か〜わいすぎるじゃないの――――――――っ!)

 おーっ、ぉーっ…(※一年目の果てしない萌えのエコー)

 口をあんぐりと開けたナナは、真っ赤っかになっていた。


 「だだだだ大丈夫ですよーっ!?なんっにもベタベタしてませんよ!?薔はこんなにお髪も、さらっさらですし!」
 昂りながら入れたフォローが、ベタをベタベタと履き違えているためフォローになっていない。
 髪のことを全力で褒める形となった。
 「……ん、今改めて実感した、おまえと付き合えて俺は死ぬほど幸せだ……」
 見当違いのフォローが可愛すぎて、薔は彼女の浴衣をさっそく乱したくなっている。

 「死ぬほど幸せじゃなくて生きるほど幸せにしてくださいよーっ!」
 「俺が死人だった場合はそっちになるかもしんねえ……」
 「はいーっ!?」
 ナナはまたしても、言葉の綾がよくわからず見当違いをやらかした。
 恋人同士という観点では、じゅうぶんなまでにベタベタしてはいる。

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