※※第300話:Make Love(&Sweetness).182
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 いきなりのインターホンにビクッとなったナナは、来訪者は夕月かもしれないと思った。
 なぜなら昨日、粋な計らいをしてくれたからである。
 残念ながら夕月は多忙で、同じ国内にすらおりませんでしたが。

 一度鳴らしたにも拘わらず、急かすみたいに再度鳴らされたインターホンに薔はものすごく不機嫌となった。
 なんならこのまま彼女を、押し倒すことも可能だったと言うのに。

 「ったく、俺にばっか相談しねぇで自分の力で解決しろよ……」
 どうやら薔は誰が何の目的で訪ねてきたのかわかっているらしく、溜め息をつくといったんキッチンへ向かった。
 ナナは誰が訪ねてきたのか?ということより早くも、明日がデートなら今日は何をして過ごすのか?が気になって仕方なくなっている。
 目の前にあるじゃない、大量の宿題が。


 薔は特にどうということもなく自然な仕草で、余っていた媚薬の瓶を一本冷蔵庫から取り出し今度は玄関へと向かった。
 何にも言いつけられなかったナナは雰囲気で大人しく待機してろと言われた気がして、ちょこんとリビングにて待機。









 ものすごく不機嫌なまま、薔が玄関のドアを開けると、

 「薔ちゃんたらーっ!俺のLINEを何回既読スルーすれば気が済むの!?相談したいことがあるって言ってるじゃん!」

 やけにキャラが女々しくなっている屡薇が、そこには立っていた。
 しかしながら屡薇は今夜も真依の護衛をしてくるつもりのようで、さっそく全体的に黒っぽいがマスクだけは白いという不審者の格好をしていた。

 薔は一瞬本気で、媚薬の瓶でサングラスを叩き割りたくなった。
 醐留権先生に訪れようとしている悲劇が、屡薇にも訪れようとしたんだかなんなんだか。




 「この格好のどこがいけねぇのか、的確なアドバイスが欲しいの!俺は!」
 屡薇は昨夜の真依の反応から、ボディーガードに使用する服装は改めたほうがいいのかもしれないと思い立ったようだ。
 それならまあ、真依に直接聞けば早い話のような気もするが、またこの格好で会いに行ったらまともに取り合ってはくれないだろう。
 とは言え、薔だって無論こんな変質者もどきの相談にまともに乗ってあげる気など毛頭ない。
 こういうのに最も容赦ないひとのところへ、屡薇は頼って相談に来てしまった。


 「……下手すりゃ鋏で切り裂かれるぞ?」
 「えっ!?なにその台詞、ちょっと、歌詞に使いたい!」
 真依は美容師なので切り裂く道具は敢えて鋏限定にした薔のまえ、感銘を受けた屡薇はメモを取りたかった。
 よって、薔はもう一度、媚薬の瓶でその野暮ったいサングラスを木っ端微塵に叩き割りたくなった。
 瓶も共に割れてくれるとは思うので、破片が突き刺さる勢いは増して一石二鳥ではあった。

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