1/11ページ目 「薔っ、わたしとお絵かき対決をしませんか?」 皆で海デートも満喫し、まだまだ夏休みは満喫中なのだがいかんせん宿題が嫌になったナナは、とっぴな提案をした。 せっかく彼と一緒に並んで座っているのだから、宿題でうんうん唸るよりやはりイチャイチャがしたい。 最終日に溜め込まないようにと計画的にやらせてくれている彼のさりげない優しさには、たぶん気づいてはいる、たぶん。 「あ?いきなり何言ってんだ?」 行き詰まっていたのを見逃してはいなかった薔の雰囲気は、若干険しくなったものの、 「お願いですよぉ、息抜きと言いますことで、五時間ほど……」 「五時間も笑いを堪えさせられる俺の身にもなってほしいもんだが、可愛いから許す。でも息抜きは30分までな?」 「ありがたき幸せ!」 懇願してくる彼女の様子が可愛らしかったので、求められた時間を大幅に短縮させつつけっこうあっさり許した。 しりとりの次にはお絵かき対決がきましたが、何を描いてあるのか究極にわからない絵心の持ち主であるナナと、美術の成績も毎回10である薔の対決はなかなかの見物、になるといいな。 「えっと……でしたらお題は、“花子ちゃんと豆ちゃん”です!」 人差し指を立てたナナは、勢いよく提案した。 「おまえが描いた場合はナスカの地上絵になったよな?つうことは俺は何を描けばいいんだ?」 「ですから、花子ちゃんと豆ちゃんですよ!」 「……わかった。」 ナナ画伯は以前挑戦した際に、ナスカの地上絵へと変身させたお題を敢えて再び登場させることで彼を若干困惑させながらも、お題はわんこたちで押しきった。 結果的に何に見えようが面白くはあるので、薔も別に良しとした。 「ノートはこちらをどうぞ!」 「おい、これは桜葉のノートじゃねぇか?」 「ぎゃあああああ!それはダメでしたああ!」 どうやらナナは海デートのときにこけしちゃんから新作を貸してもらえたようで、うっかり彼に読ませてしまうところだった。 なぜ勉強道具のなかに早くも紛れ込んでいるのか、薔の雰囲気はまたしてもやや険しくなる。 「油断も隙もあったもんじゃないですね…!」 汗ばんだナナは数学のノートを彼へと手渡し(買ってもらったものだけど)、 「いや、おまえが油断も隙もありすぎるだけだな……」 ちょっと呆れさせるとこも可愛かったためにノートについては問い詰めることもなく、薔は彼女のザザえもんシャープペンもついでに借りた。 買ってあげたものだけど。 花子と豆は寄り添ってリビングにてうたた寝の最中で、これからモデルにされることを悟ってでもいるのかとにかく大人しくしていた。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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