2/12ページ目 「……う〜ん……」 酔って眠ってしまっていた真依は、おもむろに目を覚ました。 瞼はどことなくとろんとしており、からだじゅうがやけに火照っている。 「あ、真依さんおはよ。」 テーブルの上を大雑把に片付けながら彼女の寝顔を見ていた屡薇は、微笑みかけた。 通常なら、彼の大雑把さにケチをつけてもおかしくはない場面に於いて。 「屡薇くんだあ……おはよう……」 甘えた声で返した真依は蕩けたような笑顔を見せた。 彼女は酔うと、ほとんどデレしか発揮をしないデレデレの状態になってくれます。 (落ち着け俺のマグナム!) いつ暴走してもまったく不思議ではないマグナムとやらを必死になだめすかせている屡薇は、彼女の目の前にしゃがんだ。 ちょっとした悪戯を仕掛けてあるので、いくら見ていても飽きない。 「真依さんさ、そんなに大きいのって、何?入らなかったんでしょ?」 なるべくムードをぶち壊さないよう心がけつつ若干のニヤニヤを隠しきれていない彼は、何とはすなわちナニ(※マグナムとやら)のことだと信じて疑わない気持ちから、彼女に恥ずかしいことを言わせようとした。 「えへへっ……あれはね、」 まだ現との区別がつきにくい夢見心地でいるのか、真依は素直に答えてくれた。 「屡薇くんが銀行のATMで一億円入れようとしてたから、そんなに大きいの入らないよって教えてあげたの……普通は窓口に行くよねえ、屡薇くんたらおっちょこちょいで可愛いんだからっ……」 と。 お酒を無理矢理飲ませようとした際に手渡した諭吉さんが、原因かと。 「へぇええ、そうなんだあ……俺いいこと教えてもらったからやっぱ、アラブの石油王目指そうかな……」 思ってもみなかった返答をされた屡薇の目は、一瞬遠くなる。 そんな状況ってあり得る?と思ってみても、夢なので仕方がない。 「あはは、屡薇くんってやっぱバカで面白〜い!可愛い〜!」 「俺さっきからずっと、褒める前にけなされてね?」 「あははははは!」 彼女はひたすら笑っているなか、彼の笑顔は耳を後ろに伏せながらも尻尾は振っている子犬のようになった。 元気が失せていないのはもちろん、これからお仕置きができちゃうからです。 「……あれ?」 大笑いをしたあと起き上がろうとした真依は、頭とお尻に違和感を感じた。 頭はふわふわしている気がして、お尻はなんだかくすぐったい。 「何かついてるよ…?」 そっと頭に手を伸ばして当てた彼女は、やわらかな獣耳のようなものに触れた。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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