2/15ページ目 「薔ちゃ〜ん、俺だよ俺!嫁さんとラブラブしてる!?」 真依に案内された部屋のドアをノックしながら、屡薇はなかなかの大声を出した。 なるべく機嫌を損ねないようにと心がけ、“嫁さん”というワードを引っ張り出してきた。 屡薇くんたら必死だなあ相手が薔さんだから……というあたたかい気持ちで、真依は黙って彼氏の背中を見ている。 ホテルは貸切状態なため、フロアごとにカップルの部屋は割り当てられていた、しかもそれぞれのフロアは三つほど隔てられてもいた。 部屋は全室オートロックです。 「うるせぇな、ナナが起きちまうだろ?」 思いの外、ドアは早くに開けてもらえた。 “嫁さん”効果か、焦らされつづけているナナが宿題に疲れてうたた寝をしてしまった効果か、薔は殺気立っているほど不機嫌ではなかった。 不機嫌ではありました。 「あっ……ごめ〜ん、嫁さん寝ちゃってるんだ?あのさ……薔ちゃん、ちょっと相談があるんだけど、いい?」 「あ?」 急に声を潜めた屡薇はちゃっかり“嫁さん”については忘れることなく口にして、相談は真依についての内容だと伝えるべく後ろをチラチラと見ながら薔にめくばせをした。 すぐに彼女についての相談内容だと悟った薔は、屡薇の仕草については気持ちが悪いと思った。 「……仕方ねぇな、」 ナナを部屋に残してゆくのは心配なのと仕草の気持ち悪さ故に無下に扱いたかった薔だが、このカップルの相談には何度か乗っていることや竜紀の事件に巻き込んでしまったこともあるため無下にはできなかったようだ。 え?乗ってくれんの?の眼差しについてはひとまずさらりと躱して、薔はいったん部屋の中に戻った。 「ナナを監禁してくるからちょっと待ってろ。」 「えっ…!?監禁…!?」 堂々とした素振りでドアは閉められ、屡薇は度胆を抜かれた。 監禁はこれで二度目なので、真依は特に驚きはしなかった。 「薔ちゃんたらすげえな……俺もいつか真依さんと監禁プレイしたい……」 「はあ!?」 がしかし、彼が思わず漏らした本音には驚くしかなかった。 屡薇は今では羨望の眼差しでドアを見つめており、あわよくば監禁できてしまった暁のシミュレーションを脳内でおっ始める。 (うん!聞かなかったことにしよう!) ドキドキの真依は俯いて、懸命にあっちの世界での妄想を始めた。 これから屡薇くんは薔さんとふたりきりになるくせに何を言っているんだと、腹を立てるよう心がけている。 そんな真依に対して屡薇は、お仕置きと題しての監禁プレイくらいならしてもいいのかもしれない。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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