※※第294話:Make Love(&Seaside date).2
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 (迂闊だった……)
 真依の彼氏もようやくホテルに到着したと言うことで、ゾーラ先生はこけしちゃんと部屋に戻った。
 そして、戻ったとたんに己の詰めの甘さを認識し、ものすごく後悔をしていた。
 先ほど、こけしちゃんと真依がよくわからない話(腐的なお話)で盛り上がっていた隙に、ささっと部屋へいったん戻ってベッドサイドに例の電マを用意しておくべきだったと。
 脳内は絶好調に、いかがわしいまんまです。

 今は用意をしようにも、すぐそばにこけしちゃんがいるため、できない。
 醐留権は涙が流れてきそうな眼鏡越しにベッドを見つめながら、しばし立ち尽くした。

 窓の外には青く煌めく水平線が広がっている、でも別に先生は景色を見ているわけではない。




 「ゾーラ先生ぇ、」
 おっとりとした声で背後から名前を呼ばれた醐留権は、考えていた内容がいかがわしかったためにぎくりとした。
 その焦りを悟られないよう平常を保ちつつ、彼女のほうへと振り向く。

 「な、何たい?」
 微笑んで見せつつも手では眼鏡をくいくいさせているので、なんかエッチなことでも考えてたのかなぁぁ……とこけしちゃんは思っちゃったりした。
 「あたしほんとはねぇ、ゾーラ先生ぇとふたりっきりでぇ、泳ぎたかったんだぁぁ。」
 鋭いことを思いながらもニコニコと本音を告げられたこけしちゃんのほうが、平常を保てているかもしれない。

 「ダメかなぁぁ?」
 おまけに、ちょっと甘えた声で確認までできてしまった。
 無論、脳内がいかがわしい醐留権先生は跳ね退けるすべを持ち合わせていない。
 「いいに決まっているだろう。今から行くかい?」
 また彼女の水着姿が見られるのならばと電マの件ははひとまず置いておき、ふたりきりで海で戯れるべく醐留権は快諾した。

 「行くぅぅっ。」
 とか喜んで応えたこけしちゃんの台詞は別の場面に転換させることも可能で、いかがわしさが疼いた。
 こんなふうに無邪気にはしゃぎながら彼を刺激しているように見えるこけしちゃんだが、じつはこぉっそりと荷物の中にホームセンターで購入した縄を忍ばせてきてある。

 海にデートに来るのに、どうして縄なんぞを持ってきてしまったのかと言うと、電マを携えてきているであろうと確信している要先生(あっちの世界の要先生ではない)と玩具で拘束プレイに発展させたいからである。
 この部屋は教師と生徒が揃って、いかがわしかった。


 荷物の中にまだ発見されては困るものを忍ばせているこけしちゃんとゾーラ先生は水着に着替えると、何食わぬ顔で再び海へ泳ぎに向かった。

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