※※第293話:Make Love(&Seaside date).1
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 …――――焦がれるゆびさきに、

 心は、焦がれる。
















 「あれぇぇ?ナナちゃぁんがいないぃぃ……」
 辺りをおっとりな仕草で見回してみたこけしちゃんは、ニコニコと呟いた。
 隣に立っている醐留権も、バイトはばっちり彼女が休みを入れてくれてあった羚亜も、気分はさっそくエロ親父の愛羅も、自分だけ彼氏が夕方からの参戦なので今は存分に男同士で脳内をめくるめかせている真依も、その点について気になってはいた。

 醐留権先生がお家の権力を使って貸切状態にしたプライベートビーチからは、穏やかな波の音が聞こえてくる。
 日差しは強いほど照りつけているわけでもなく、浜辺でも比較的過ごしやすい土曜日になった。



 はい!
 いよいよ、夏休みのとある土曜日、みんなで海デートの日がやってまいりました!
 海のすぐそばに佇む高級リゾートホテルも、ゾーラ先生が権力を使ってカップルたちで貸切状態にしてあります。
 レンタカーはとりあえず10人乗りで、到着するまでの道中では車内にてそれぞれのカップルのイチャイチャや一部脳内では男同士のイチャイチャも繰り広げられてきましたが、そこらへんはまあ愛が充満していたのだということで割愛させていただきます。





 みんなで荷物を部屋に置いたら水着に着替えてビーチに集合のはずが、一緒に来たはずのヒロインはいったいどこにいってしまったのか?の鍵はもちろん他の誰が握っているわけでもなく。

 「ナナなら部屋に監禁してきた。」
 普通に来たときのままの格好でいる薔は、さらりと答えた。
 全体的に彼はそら爽やかなので、言っていることも爽やかに感じて取れた。
 なので他の全員は一瞬、なんだそうか(ぁぁ)と聞き流すところだった。



 …………えええええええ(ぇぇぇ)っっ!?

 そのあと度胆を抜かれた。
 ホテルに到着して早々に、水着に着替えることもなく彼女を監禁していたとは。
 そもそもの話、水着姿というのがネックなのだろうな。


 「つうわけで俺は部屋に戻る。」
 「待て、待つんだ!どこからツッコミを入れるべきなのかよくわからないのだが、本当に監禁をしてきたのか!?」
 「だからしてきたっつってんだろ?」
 彼女を一人きりで待たせるわけにもいかない薔はさっさと部屋に戻ろうとし、全力の醐留権先生に引き留められた。
 このやりとにはすかさず、こけしちゃんが猛反応を示してしまった。

 「要先生ぇ、突っ込みたいならおよそ二箇所」
 「それ以上言ったら眼鏡割るぞ?」
 「それ以上言ったものなら眼鏡が割られてしまう!」
 ツッコミを突っ込みと捉えたこけしちゃんはあっちの世界に置き換えようとして、同時に遮られた(あっちの世界での攻守同時)。
 よって薔と醐留権の雰囲気はますます険悪になり、同時に遮られたこけしちゃんはますます心が萌えた。

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