※※第292話:Make Love(&Ogle).179
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 「すご〜い!これ全部悠香ちゃんが作ったの!?」
 「えへへぇぇ。どれも簡単に作れますよぉぉ?」
 こけしちゃんズルームにて、種類もなかなか豊富なスイーツ(クッキーやらマフィンやら)を前に、こけしちゃんと愛羅はたいそう盛り上がっている。
 部屋のなかはほんのり、甘くていいにおいがする。

 (美味しそう!うん、美味しそうだよ!美味しそうなんだけど俺、会話に入っていけない!)
 愛羅と一緒に来た羚亜は黙って、正座をしていた。
 そもそも、醐留権先生への仕返し作戦の一環としてこけしちゃん宅を教えてもらうはずだったのが、ばっちりカップルで伺ってしまったせいか本題を切り出せない感が半端ない。
 乙女たちはキャッキャとはしゃぎながら、土曜日の皆で海デートの話題でも盛り上がっている。

 俺その話聞かされてないんだけど……と思った羚亜だったが否応なしに参加は決定となっているようなので、何も言わずにおいた。



 「どうしたの?羚亜くん。借りて来た子羊のようになって。」
 「い、いや、それ、猫じゃあ……」
 大人しく座っている彼のことをつい、愛羅は子羊に見立てた。
 ますます畏縮した羚亜はとりあえず、そろそろとクッキーに手を伸ばして摘まむ。
 借りて来た子羊のようというのは正直、日本ではあまり見かけないので想像がつかない。

 「えぇぇとぉ。羚亜くぅんはつまりぃ、薔くぅんにメロメロの要先生ぇをぉぉ、色仕掛けで奪い取りたいぃということを相談に来たんだよねぇぇ?」
 「俺そんなこと一言も言ってないっ!」
 ニコニコのこけしちゃんは己が萌える相談内容を勝手に作り出し、震えた羚亜は口許に運ぼうとしていたクッキーを放った。

 「羚亜くんたら、食べ物を投げちゃダメでしょ!?」
 「ごめんなさい……」
 愛羅はまるでお母さんのように彼氏を叱り、羚亜はすごすごとクッキーを拾い上げに行った。
 この状態をいわゆる、“プチ針の筵”と言います。




 「悠香先生!羚亜くんは苛められるとなればそれはそれは可愛いですが、自分から色仕掛けとかできる子羊ではありません!」
 「うぅむぅぅ、そうなると妄想が行き詰まっちゃうぅぅ……」
 「もうやめて!俺の純粋な悩み相談を聞いて!」
 乙女たちはノリノリで子羊(←愛羅にとっては常でこけしちゃんにとってはごくたまに)の反応を面白がり、羚亜は泣きそうになった。
 この場面に於いて、一番たまったもんじゃないのは、名前だけで無断で使用されている薔とゾーラ先生かもしれない。

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