※※第289話:Make Love(&Arcanum).177
2/11ページ目







 (いつももっと近いって……どのくらいですか?)
 空気と化している演劇部の皆さんは、その点についてがものすごく気になり緊張している場合でもなかった。
 今の距離でもすでに、マジでキスする5秒前だかの間隔に見える。
 要するに、本番までまだけっこうな時間があるこの高校の控え室には緊張は微塵も漂っておらず、和みムード全開だった。
 何も問題はない状態でした。




 彼女の吐き気はほんとうに治まったようなので、恥ずかしがる可愛い姿を周りに見せたくない薔はいったん放れた。
 黙って隣に座った彼は、本番前だと言うのにちっとも緊張などしていないように見える。
 むしろ、そうにしか見えない。

 「薔は緊張なさることってないんですか?」
 めちゃくちゃ感心したナナは率直に、尋ねてみた。
 この質問には、褒めるという気持ちもちゃんと含まれている。
 「おまえ俺をバカにしてんのか?」
 がしかし、薔はご機嫌ななめとなった。


 「なぜにそうなるんですか!?わたしはすごいなと思っただけですのに!」
 驚いたナナは仰け反りかけて、踏ん張った。
 「俺だって緊張する時くらいある。」
 ご機嫌ななめを続ける薔は堂々と、言い放った。



 (えええええ!?いつですかぁぁぁぁあ!?)
 ナナを筆頭に、演劇部の皆さんも激しく疑問に思った。
 大笑いのしすぎにより倒れていた部長さんも、疑問が一気に浮上したようでガバリと起き上がった。

 「たっ、例えばいつですか!?」
 食いついたナナが正直に聞いてくれたため、場にいる皆さんは息を呑む。
 息を呑んで答えを待ち構える。
 「ここで言いたくねぇよ。」
 ところが薔は不機嫌なまま、答えを渋った。
 焦らされた皆さんは心の中で、悶絶しそうになる。

 「例えば、でいいんですよ!?もんのすんごく気になるので、教えてくださいよ!」
 そんな皆さんのためではなくただただ自分が知りたいがために、ナナは必死で食い下がった。
 周りは心の中でヒロインを応援しまくる。




 「……ったく、うるせぇな……意識しておまえに大事なこと言うような時だよ。」
 身を乗り出した姿と上目遣いが可愛すぎたので、薔はぽつりと教えてくれた。
 彼はどう見ても、ちょっと照れていた。
 「………………!」
 口をあんぐりと開けたナナは彼の可愛さにやられて、後ろのめりにぶっ倒れそうになる。
 でもどうせならどさくさ紛れで、前にぶっ倒れたいのでまたしても踏ん張った。



 (もう無理だ――――――――――っ!このおふたりラブラブすぎて、自分たちの存在感のなさが半端ないーっ!)
 ラブラブオーラの攻撃により泣きそうになった演劇部の皆さんは、ロビーでお菓子を食べたりお弁当を食べたり麦茶を飲んだり他の高校の劇を観たりすべく一斉に控え室を飛び出していった。

[指定ページを開く]

←前n 次n→ 

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。



[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ