※※第268話:Make Love(&Guilty).163
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 いよいよ、やってまいりました、

 《F・B・D[》!

 竜紀が夢の中で口にした、“共犯者”の意味とは?
 11年前の真実が少しずつ、明らかになろうとしているのか。


 謎がさらなる謎を呼びつつも、始めていっちゃいましょうか。




 …………Are you ready?














 [が始まって早々に、ナナはとんでもないことをしてしまった。
 朝、わけのわからない夢から目覚めた彼女はどうしたらいいのかわからず、

 薔のマンションを飛び出してきてしまったのだ。

 慌てて着替えたのは制服だが、学校には向かっていない。



 (なんでっ…!?どうして…!?)
 とりあえず実家へと向かい走りながらも心はやみくもで、断片的にしか覚えていない夢の内容にナナは果てしなく動揺していた。
 そうでなければ、勝手に彼の傍を離れるなんてことは絶対にしない。


 夢の中で、竜紀はまるで友人のようにナナと接していた。
 あんな過去は記憶にない、それでも異様な懐かしさを湛えた一場面だった。
 しかも、“共犯者”という言葉は、この世で最も言われたくない相手と言っても過言ではない竜紀に投げられたものだった。
 それはいったい、何を示しているのだろうか?


 なにもかもが、わからない。
 疑問がいっぱいありすぎて、頭の中が混乱しており、目覚めた彼の前でとてもではないが平然を保っていられそうになかったナナは、絶対にしてはいけないことだとわかっていながらマンションを飛び出してきてしまった。
 朝日が昇ろうとしている辺りは明るくなりゆくのに、彼女の内側はどんより暗くなってゆく。


 (薔っ…!ごめんなさいいっ…!)
 ナナは心で何度も彼に謝りながら、全速力で走っていた。
 初めから遠くへ逃げるつもりはなかった、おまけに思いつく行き先が実家しかなかった。

 彼に何度も心で謝っているうちに、無性に泣けてきた。
 自分はもっと別のことを、何度も、何度でも、彼に謝らなければならないような気がしていたからだ。














 「お母さん、しばらく実家に置いてください!」
 チャイムを鳴らして玄関を開けてもらったとたんに、飛び込んだナナは母へと深々と頭を下げていた。
 「どうしたの?夫婦喧嘩?」
 早朝にも拘わらずベビースターラーメンをポリポリとかじりながら、ナナ母は堂々と返した。

 「ふふふふ夫婦喧嘩!?」
 娘は真っ赤となり、
 「夫婦喧嘩は申し訳ないけど食べられないのよね。」
 母は諺になぞらえて、呆れたように返した(正しくは“夫婦喧嘩は犬も食わぬ”です)。


 「と、とにかく、もしも薔がいらっしゃったら、いないって言って!お願いだから!」
 夫婦については未だ赤面中のナナは、慌てて懐かしのマイルームがある二階へ駆け上がっていった。

 「……罰当たりな子ね。」
 ぽつりと呟いたナナ母はずっと、ベビースターラーメンを食べていた。
 ナナ父は今日はすでに、いささかブラックな面を表し始めた会社へと出勤した後だった。

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