1/13ページ目 張り込みをされていたとは、迂闊だった。 それ以上に“とあること”が計算外だった要は、素直にブツを彼に手渡すしかなかった。 挑発的な視線でいくつか質問をされ、ぞくぞくと男の本能が疼いてくる。 「中身は見たのか?」 改めて確かめるように、薔は詰問をした。 中身を見たか、見ていないのかなど、もはや要にとってはどうでもいい話だった。 こんなにも美しい捜査官を寄越すとは、FBIもまったくあなどれない。 「君、私の花嫁にならないか?」 「あ?」 つい、今一番に言いたいことをストレートに言ってしまった。 これから捕まろうとしているにも拘わらず、要の未来はまさに薔薇色だった。 危ない仕事からは足を洗い、彼を幸せにするためにまともな職に就いてもいい。 無論、報酬ならその躰で受けさせてもらおう。 「はぁぁぁ……とうとうFBIにまで上り詰めたぁぁ……」 こけしちゃんはニコニコうっとり、溜め息をついた。 冒頭からどこか可笑しな世界観で始まりましたが、全てこけし姉さんの妄想でした。 昨日の薔の台詞である「中身は見たのか?」だけでレパートリーが増えすぎて、明日はゾーラ先生とデートだというのに妄想が止まりません。 むしろデートのためにドキドキィィしちゃう気持ちを落ち着かせようとして、別のドキドキィィをぞんぶんに発展させております。 「配役的にやぁっぱりぃ、薔くぅんの上司はナイスガイ鎧よねぇぇ……」 まずはノートにせっせといくつかの登場人物相関図を描くことで、こけしちゃんは妄想をより濃いものにしてゆく。 男性キャラたちにとってみればたまったもんじゃない相関図である。 あと特に、ナイスガイ鎧については駄洒落ではない。 「あのヘタレはどうしようかなぁぁ?闇の情報屋かなぁぁ?」 真依に見せても悦ばれるようにと大先輩は屡薇もちゃっかりキャスティングさせてはおり、相関図は見事なまでの薔の総受け状態となっていた。 ヘタレじゃないと豪語した屡薇は「あのヘタレ」呼ばわりをされたりと、もういろんな意味でたまったもんじゃない話である。 総攻め(そうせめ)はなめろうと勘違いされたが総受け(そううけ)は何と勘違いされるのか、気になるところでもある、かもしれない。 相も変わらずベッドのど真ん中を陣取り、ゲイちゃんは熟睡中で、 「ふぅぅ……」 一息ついたこけしちゃんはシャープペンをノートの上に置き、やおら(やおいではない)席を立った。 「明日ぁ、何着てこうぅぅ……」 と。 やはり気になって仕方ないようです、ゾーラ先生とラブラブデートなので。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
[編集] |