※※第283話:Make Love(&Sex aid).34
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 (駄目だ、真依さんと全然連絡取れねえ……)
 屡薇は焦っていた、一刻も早く彼女と連絡を取りたかった。
 けれどLINEのメッセージは未読のままで、電話もいっこうに繋がらない。
 女性週刊誌に載せられたとある記事について説明をしておきたかったのだが、この様子だとすでに見てしまったと思われる。

 その記事は屡薇が人気若手女優とお忍びデートを重ね交際している、かのような内容で、真依は相当なショックを受けただろう――表紙のみを見た場合は。
 そして、連絡がつかないということは確実に、真依が見たのは週刊誌の表紙だけだった。
 怖くて中身まで読めていないのかもしれない、とはわかっていても表紙を開いて中の内容もきちんと読んでくれないと困る。


 なぜなら、

 (あれ俺じゃねぇんだよ!くそおおお!)

 という切なる心の叫びが全てを物語っている通り、人気若手女優とこっそり会っていたのは屡薇ではなかった。
 表紙に勝手に使われたのは屡薇の写真だったが、実際にお忍び中として掲載されている写真はどことなく似てはいる上にピントが合っておらずパッと見わかりづらいものの、よく見ればまったくの別人だとわかる。

 おまけにアルファベットも間違ってLのところをRと表記されてしまい、対応に追われて踏んだり蹴ったりの一日だった。
 しかしながらこれはどう考えても週刊誌側に非があるため、事務所は強気に出た。
 おかげで、ネットでは早くも誤報だという真実が出回っていた。

 今屡薇は、最初紳士的に話を持ち掛け相手が油断した隙をついて一気に畳み掛けるといったサディスティックな対応(すなわちサド対応)をしてくれた事務所の、廊下の隅っこで空しいビジートーンを聞いた。
 着信拒否設定にされてしまったのではないかと心配で、数分経って掛け直してもやはりビジートーンで終わる。

 屡薇はもうここで儚く人生を終わりにしてしまおうかと思い悩むほどの、負の感情に支配されかけていた。
 ファンの皆さんや、メンバーや事務所のためにも自害は決してできないが自害したい気分ではあった。
 まあ、自害を志すくらいなら、週刊誌の編集者たちを漆黒の闇へ葬り去ってやったほうがいいが。
 このニュアンスが鍵で、別に率直に殺してやりたいとはひとことも言っていない。




 真依がネットで検索をしてくれたら……と願っているものの、中身をまだ見ていないのなら望みは薄い。

 それにしても、屡薇を着信拒否までしているとなると、真依の精神状態は大丈夫なのだろうか?

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