※※第282話:Make Love(&Sex aid).33
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 それでも羚亜には、大事な持ち物の命が懸かっていると言っても過言ではないため、必死になって食い下がった。

 「薔くん!頼むから相談に乗ってよ!このままじゃ俺、痛くされすぎて機能しなくなっちゃうかもしれないんだよ!」

 と。
 もやはこれは男の沽券に関わる問題ではなく、男の股間に関わる問題である。




 ナナの手を引いてコンビニを出て行く手前、振り向いた薔は言い放った。
 とんでもなく険しい雰囲気と共に。

 「ナナのいるとこで次その話したら、縊り殺すぞ?てめえ…」











 出ていく手前の台詞はそら恐ろしかったが、コンビニのチャイムはいつも通り軽快だった。
 ホラー映画仕様とかには特になっておりません。

 「くっ、くびり殺すって……どういう殺し方?」
 意味がいまいちわかっていない羚亜はポカンとしながらも、愛羅が与えるのとはまったく違う身の危険を果てしなく感じ取ることができた。
 そもそもの話、醐留権が生徒に土産として買ってくるのには不適切なものを選んだことから全ては始まったのだと気づけた羚亜は、『子宝キャンディー』をへし折りたくなってくる。
 勿体ないのでできませんけれど。


 そしてご参考までに。

 くびりころす【縊り殺す】
 首をくくって殺す。しめ殺す。

 だそうです、羚亜くんはあとで辞書を引いてみよう。






 「羚亜くん、ぼーっとしてどうしたのっ?」
 「わあっ!愛羅さん!?俺をくびり殺しに来たの!?」
 メインカップルがコンビニを後にしてから間もなく、ご機嫌の愛羅が来店した。
 考え事をしていたらいきなり彼女に声を掛けられ、驚いた羚亜は自分でも何を言っているのかよくわかっていない。

 「やだあ、羚亜くんたら……マニアックなプレイをお望みなんだから……」
 「いやいやいや、望んでないよ!その様子だと愛羅さんはくびり殺すの意味を知ってるみたいだけど、聞かないからね!?俺!」
 愛羅は彼の制服(無論コンビニの)を両手の人差し指でツンツンし、身構えた羚亜は両手で耳を塞ぐ。
 なんだかんだでこちらのカップルも、イチャイチャ満喫中です。

 店内にはお客さんもちらほらおりますが、今だけ、空気として捉えておいてください。




 (相変わらずチーフ、羨ましすぎます……)
 恐れ縮こまりながら美少女に苛められたがっている元チーフは1ページ目が始まる前からずっと、カウンターの奥の事務所内に隠れていた。
 コンビニでアルバイトをしていて初めて聞いた、“縊り殺す”という言葉。
 日本語の語彙が増えるので良い経験にはなった、のか?


 なんとも平和極まりない夏休みでございます。

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