※※第282話:Make Love(&Sex aid).33
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 あなたの視線は、わたしの心を盗む。
 盗まれた心は二度と返ってこない。















 「……要さんがさ、俺と愛羅さんのお土産に『子宝キャンディー』とか言うのを買ってきたんだけど……教師にあるまじきお土産だよね?どうしたらいいと思う?」
 商品のバーコードをスキャンしながら、羚亜は溜め息をついた。
 今日も15時までアルバイトで、いちおう彼女に渡すぶんの『子宝キャンディー』は持って来てある。


 「アルマジロ?」
 早く家に帰ってマンゴージェラートを食べたいナナは、目をぱちくりさせた。
 「アルマジロなんて言ってねぇだろ、可愛いな。」
 羚亜の相談にはいっさい乗っていない薔は、彼女しか見ていない。

 「薔くん、俺の話聞いてた……?」
 「えーっ!?アルマジロって言いましたよ、わたし聞いてましたもん!」
 「だから、聞き間違えなんだよ、そういうとこもすげえ可愛いっつってんだろ?」
 「きゃああ…!恥ずかしい!」
 「ダメだ……話聞いてもらえてないどころか俺ここに存在してるのかさえよくわからなくなってきた……」
 羚亜は控えめに存在を主張してみたものの、アルマジロで(?)イチャイチャ全開となっているふたりはまったく気にかけていなかった。
 そもそも、聞き間違えの発端である“あるまじき”を発言したのは、羚亜である。
 言ったのか言っていないのかは、目の前の羚亜に聞けば確実な返答が得られるというのに。


 可愛いをさらりと繰り返されたナナは彼の後ろに隠れてもじもじし始め、

 「あの強烈なキャンディー、買ってそうなイメージが一番強いの薔くんなんだけどなあ……」
 「ぶつぶつ言ってる暇があんならさっさと会計しろよ。」
 「あ、はい、ただいま……」

 買っていそうなひとナンバーワンに話を持ちかけてみた羚亜は、タイミングが悪かったのかはたまた“アルマジロ”と聞き間違える危険性の高い“あるまじき”を使っちゃったのが悪かったのか、諦めて早急にお会計をした。
 しかしながらぶつぶつ言っているのをたしなめてもらえたことで、存在確認ができてありがたいとは思っている。
 その上、抱いていたイメージは何も的外れではなかった。



 ちなみに醐留権先生が土産として購入しようとしたときにはミルク味は残念ながら売り切れており、ハッカ味を選ぶしかなかった。
 これを舐めたあとに自分のを舐められたらそれこそたまったものではないと羚亜は戦慄さえ覚えたが、愛羅なら容赦なくやりかねない。
 と言うか正直なところ、確実にやられると思う。


 そこで、運よく買い物にきたカップルのさすがな俺様彼氏のほうに相談を持ちかけようと試みたものの、彼女を溺愛しすぎている故に彼女のことしか気にかけておらず端から相手にしてもらえなかった。

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