※※第281話:Make Love(&Make Love!).18
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 (じつにけしからんな……)
 温泉施設にある、無料で戴けるさんぴん茶を飲みながら、醐留権は眉間にしわを寄せていた。
 生憎玉露はどこにも売っておらず、さんぴん茶を選ぶしかなかったのだがこれがなかなか美味しかった。
 オルニチン効果は流石である。

 引率ということもあり呑気に温泉へ入っている場合でもない醐留権先生は、キャッキャァァと女子たちで楽しそうにしている湯上がりのこけしちゃんばかり目で追っていた。
 正直なところ、ほんのりピンク色の肌が色っぽすぎて、非常に困っている(※ゾーラ先生ビジョン)。
 今朝、途中で逃げられたことはさて置き彼女の親友である生徒のついうっかりな発言からして、こけしちゃんと共に行動をしている女子たちは高確率で胸を揉んだり揉まれたりしているだろう。
 何てったって、命すら危ぶまれるナナにも果敢に手を出していたのだから。

 (私ですらもまだ、触れていないと言うのに……)
 イライラしている醐留権先生は、とあるカップル生徒の姿が見当たらないのだけど思いきりそっちのけとなっている。
 最もけしからぬのは確実にこれ、先生だろうな。




 (今度は醐留権先生がなんか、ご機嫌ななめだ……)
 ちゃっかり気づけた生徒たちは、さんぴん茶のポットの近くに立って壁にもたれている引率の教師の姿に、ごくりと息を呑んだ。
 機嫌の悪さと紙コップに入ったさんぴん茶が、妙にミスマッチに見える。
 生徒たちは途中から「あれ?薔さまと三咲さんの姿が見当たらない……」と気づけていたが、こけしちゃんのことだけが気になって仕方ない醐留権はいつまで経っても気づきはしなかった。
 さすが、イケナイ教師。


 (ここは、やむを得まい……)
 やがて、中身を飲み干した紙コップをぐしゃっと握りつぶした醐留権先生は丁寧にゴミ箱へ捨てると、受付のカウンターのほうへ歩いていった。

 (家が金持ちであることをぞんぶんに、活用させてもらおう!)
 と、イケナイ炎が燃え上がっているゾーラ先生は、脳内もイケナイ色一色に染まっている。
 こそこそと見ていた生徒たちは何となく、威厳のある教師っぽい立ち振舞いに内心「おおお!」となった。
 考えていることはまったく、教師っぽくはありませんけれど。



 狙われているとはつゆ知らずのこけしちゃんは、要先生と生徒薔が一緒に温泉へインする気配がこれっぽっちも感じられないため、かなり残念がりつついつものようにニコニコしている。

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