2/13ページ目 「おい、何やってんだよ……」 目覚めたとたんに写真を撮られた薔は、まだ眠そうにしながら不機嫌になった。 それもまた可愛らしいのでドキドキのナナは、両手をぷるぷるさせている。 「もうっ!そのままでお願いいたしますって、言ったじゃないですか!」 「知らねぇよ、つうか俺が目を覚ました原因はたぶんおまえのそれだぞ?」 「えええええっ!?」 真っ赤になったナナはばか正直な声を張り上げ、ちょっと呆れ気味ではあるけれど彼女の反応には笑いそうにもなり、薔は携帯電話を奪い上げた。 ナナはうっかり彼に奪い上げられてしまい、写り具合を確認している暇などなかった。 「………………。」 薔は黙って、画面に視線を落としている。 「あのぅ…、ほんとうは眠ってらっしゃるお顔を撮りたかったんですが、薔が目覚めてしまいましたので……」 なぜいきなり黙ってしまったのか疑問にも感じたナナは、ぼそぼそと言い訳をしたあと背伸びをして後ろからなんとか携帯電話を覗き込んだ。 ピントは見事なまでに、下方に向かってずれてしまったようだ。 どこらへんが撮れていたのかは、お察しください。 「ぎゃああああああ!恥ずかしい!」 「待て、この場合恥ずかしいのはあきらかに俺のほうだ。」 薔が言っているのはごもっともですが、ナナはとにかく恥ずかしがった。 できることならソファの下の隙間に隠れ込んでしまいたい。 「でしたらもっと恥ずかしがってくださいよぉ!」 「恥ずかしがってるおまえが可愛すぎてそれどころじゃねえ。」 「えええーっ!?」 どさくさ紛れに己の願望を告げてきた彼女の前、画像を削除するつもりでいた薔は面白そうなので気が変わり保存をしておいた。 ナナに対しての羞恥プレイになら、使えそうである。 「なあ、ナナ、」 「は、はいっ…!?」 閉じた携帯を彼女に返してあげると、薔は笑って問いかけた。 「今日はプールにでも行くか?」 水着姿を誰にも見せたくない主義の彼にしては、どこか、おかしな提案だった。 「やですよ!わたし、泳げませんもん!」 デートは嬉しいのだけどプールが大の苦手なナナは、そのおかしさには気づかないまま首を横に振って応えた。 「だよな、」 薔は面白そうに、くすくすと笑っている。 「夢を見てたんだよ、泳げねぇくせにおまえは溺れてる俺を助けてくれた……ありがとな?」 そして優しく、あたまをぽんぽんしてきた。 「夢、ですか?」 ナナにはよくわかっていなかった、まだ、このときは。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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