※※第295話:Make Love(&Make Love!).19
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 夜の海が眺望できるレストランにみんな揃ってのディナータイム中、三組のカップルは内心そわそわしていた(ただひとりは見たところだいぶ落ち着きはらっていた)。
 じつはこのあと、お仕置きが待ち構えているカップルと、拘束と玩具でアブノーマルなプレイを目論んでいるカップルがいる。

 一組のカップルだけは彼氏が妙にぐったりしており、彼女はすっきり元気すぎた。


 海はしっとりと静けさに包まれていても、それぞれがそれぞれに猥りがわしい熱を秘めている。
 それを誰にも悟られないように、平常を保っていた。
 平常を保っているため、楽しく見える夕食の時間はあっという間に過ぎていった。


 がしかし正直、前菜だのメインディッシュだのの味はよくわかっていなかった、せっかく高級な食材を用意してあるのに。
 “あっという間”と表現した時間についても、あっという間なのかけっこう長い時間堪えたのかよくわかっていない。

 腐のつく女子たちもさすがに、自分たちの身に起きるであろうことが気になりすぎてあっちの世界に羽ばたいている場合ではなかった。
 この点に於いては平和そのものだった。




 そんなこんなで、どのような会話が繰り広げられたのかなどはそもそも本人たちがよく覚えていないので割愛させていただくとして、

 夕食も終えての、夜です!















 「なあ、誰もいねぇだろうから散歩に行こっか?」
 部屋に戻ったとたん、お仕置きにすることもなく薔は優しく提案した。
 そわそわしっぱなしでいたナナはあからさまにびくっとしてしまい、散歩というお誘いに心が焦れる。
 でも、彼とふたりっきりで海辺のお散歩には行きたくて、渋ることすら到底できなかった。

 「い……行きますっ……」
 お仕置きはもっと後回しになるのかともじもじしながら、ナナは応えた。
 「おまえ元気ねぇな。大丈夫か?」
 焦らしているくせに薔は心配そうな声を掛けつつ、彼女の様子にはムラッとした。
 おくびにも出さず未だに落ち着きはらっておりますが。


 「大丈夫ですよっ、元気いっぱいです!」
 彼を心配させないためとお散歩には行きたいために、ナナは笑って見せながらも鼓動が高鳴る。
 実際のところ彼女は元気そのもので、お仕置きを心待ちにしてしまっているだけなのだ。
 「なら良かった。」
 微笑んだ薔は部屋の鍵を取るより早く彼女の手を取り、ゆびを絡めた。

 無性にドキドキして仕方ないナナは俯き、ふたりは薄暗い砂浜で散歩をすべく寄り添って部屋をあとにした。

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