novel

雨と一緒に
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ヒ「おはよう!サトシ!」


彼女の声に目を覚ました俺は
まだ眠い目をうっすら開ける。


――ヒカリ。
俺の愛する人。
彼女はその名の通り
朝日に照らされ
光り輝いていて、
一層美しく見えた。
その光景は夢か現実かも
わからなくなるほど幻想的だった。


そして彼女はあいつの元へ向かう。


朝食の準備をしているタケシ。


彼といるときのヒカリは
心からの笑顔で。
どんなときより楽しそうで。
すごく可愛くて…


ヒカリがタケシのこと
誰よりも好きだということがよくわかる。


仲良く会話する2人。
そんな光景、本当は見たくなんかない。


けどヒカリをいつまでも
見つめていたくて。
俺の胸に複雑な気持ちが広がった。



――そして俺たちは今日も歩き続ける。



途中、突然雨が降りだした。


ヒ「や−ん…髪が広がっちゃう…」


サ「気にすんなよ、そんなの。」


ヒ「そんなのって何なのよ−!髪は女の命なのよっ!」


俺の一言で怒りだすヒカリ。
…怒ってても可愛い。


タ「ほら、ヒカリ」


タケシが、ヒカリに
タオルを差し出した。


ヒ「ありがとうっ、タケシ…」


ヒカリは頬を染め、タオルを受け取った。



胸がずきずきした。


ヒカリはタケシを見つめ
顔を真っ赤にしている。
タケシもヒカリを見て
にっこりと微笑んだ。



そして、ヒカリは
タケシの腕にギュッとしがみついた。


俺の心になにか冷たいものがささった。



タ「どうした?…ヒカリは甘えん坊だな、よしよし」


タケシもヒカリの小さな肩を包み、抱き寄せた。



雨は止まない。


少しの間ヒカリを抱いていたタケシは
そっとヒカリを離した。


タ「…よし!雨も止まないし、近くのポケモンセンターにでも行くか!」


こうして俺たちは
雨の中をまた歩き始めた。


俺は目頭の熱い雨で
前が見えなかった。




雨がすべて流してくれたおかげで、
俺は誰にも気づかれずに
泣くことができた。



この想いと涙は
雨に流され、
誰にも知られずに
見えなくなっていった。


end
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