novel

気づいてよね
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サ「今日も頑張ったなーピカチュウ!」

ピ「ピカピカ!」


親友のピカチュウと
じゃれあうサトシ。
あたしの大好きな人。


いつからだろう…。
サトシのこと、こんなに愛しく感じるようになったのは。


あの真っ直ぐな瞳、
可愛い笑顔。
そしてなにより一生懸命なところ。

そんな彼と一緒に旅をしているうち、
いつの間にか大好きになっちゃったみたい。


サトシといると
本当に楽しくて。


時間があっという間に過ぎる。


ただ、一つ問題がある。


サトシは、かなりの鈍感。


そりゃ、あたしだって
好きだなんて言える勇気がないから。


気づいてほしいなんて
考えが甘いのかもしれないけど…。


いつか、あたしが

「サトシと出会えてよかった…」

なんてドキドキしながら
やっと言えたときも

「ま−な、一人じゃ道に迷っちゃうし、タケシの飯も美味いしな!」

なんて…。


ほんと、おこちゃまなんだから!

そんなある日、あたしたちは湖のほとりで休憩していた。

あたしはバッグから水筒を取り出し、
水を飲んでいた。

するとサトシが

サ「ヒカリ−!それ、一口くれよ!俺もう喉カラカラだぜ〜!!」
あたしはドキッとした。


それって…
間接キスってコト!?


ヒ「あっ…う、うん。はいっ!」


あたしはサトシに
水筒を渡した。
けれど、サトシの顔を
見ることができなかった。


水筒の水を一気に飲み干すサトシ。

サ「あ−!うまかった!ありがとう、ヒカリ!」

ヒ「う、うん…って、もうあたしが飲むお水ないじゃない!!」

サ「ああ、ごめんごめん!」

ヒ「も〜…」


なんて言いながら、
あたしは水筒の飲み口にそっと唇をつけた。


まだ生暖かい感触が残っていた。


…あたしはこんなに
ドキドキしてるのに、
サトシにとっては
なんでもないんだ…。


そう思うと少し、
胸がちくちくした。


そのとき


ヒ「きゃああっ!!」


立ち上がった瞬間
つまずいたあたしは
体が湖のほうに
投げ出された。


―落ちる!!!!


そう思った瞬間


サ「危ないっ!!」

サトシが急にあたしをうしろから抱きしめた。


―え?

サトシが強く抱きしめたため、
あたしは陸に引き戻されていた。

サ「あっぶないとこだったなぁ−…ヒカリ、気をつけろよ!」


ヒ「あ…」


あたしはドキドキして
言葉が出なかった。
ただ、サトシを見つめるので
精一杯だった。


危ないって…
もう、サトシってば!
…こっちのが危ないわよ



何事もなかったのように
スタスタと歩き出すサトシ。


ほんっとに、もう!
何考えてるのか全っ然わかんない…



けど、そんな鈍感な
あなたが大好き。


いつか、あたしのキモチ


気づいてよね?


end
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