novel

視線の先には
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あたしはサトシのことが好き。



ヒカリはシンジのことが好き。


どっちも片想いだけど。



ただ、それだけだった。



あたしとヒカリはよく
2人でお互いの恋の話をしていた。


ハ「で?ど−なのよシンジ君とは!」


ヒ「相変わらず素っ気ないけど…でも、こないだ手繋いでくれたんだあ〜!」

ハ「え−っ何それ詳しく教えなさいよおっ!」

ヒ「じゃあハルカも教えてよ〜!どう?サトシと!」

ハ「あたしは…///やっぱ、見つめるだけで精一杯かも…」

ヒ「も−っだめよそんなんじゃ。もっと積極的にいかないと!ハルカらしくもないわ!」

ハ「そ…そうだよね!…告白、しちゃおうかな…///」

ヒ「その意気よ!ハルカなら大丈夫!」



――こうして、あたしは
サトシに想いを告げることにした。

誰もいない静かな河原に
サトシを呼び出した。


あたしがドキドキしながら
座っていると、向こうから
足音が聞こえてきた。


サトシだ。


あたしの胸はさらに高鳴る。
具合が悪くなるくらい緊張してくる。


落ち着いて。


ヒカリのアドバイスを
思い出し、深呼吸をした。

サトシが近づいてきた。


ヒカリ、あたし、頑張るね!
サ「どうした?ハルカ。急にこんなとこに呼び出して。」

ハ「あのねっ、」

一瞬、息が詰まった。


トクン、と胸が鳴った。
それを合図のように、
あたしは体当たりした。


ハ「あたし、ずっと前からサトシのことが好きだったの!!」


――ほんの一瞬が、
とても長く感じた。

顔が熱い。
ドキドキは止まらない。
サトシの顔を見ることができない。

沈黙の時が流れた。



あたしは泣きそうになりながら、
うつむきがちで時の流れに
身を任せた。



そして、サトシが
ようやく口を開いた。


サ「ハルカ…。」


あたしは口をきゅっと
固く結んだ。

サ「ありがとう。」


――えっ、


あたしは一瞬顔を上げた。


サ「でも、ごめん…。俺、ヒカリのことが好きなんだ…。」


ようやくサトシの顔を
直視できた頃には、
サトシがうつ向いていた。


――ありがとう…?ごめん…?


ヒカリのことが、好き…?


あたしはわけがわからず、
ただサトシの肩の向こうを見ていた。



サ「ごめんな…。」


サトシがもう一度
謝った。



どうして…?


あたしは、今にも崩れてしまいそうだった。ハ「そう…。そっか、ありがとう…。」


涙で目の前がよく見えないまま、
あたしは走り去った。



そんな。
サトシってヒカリのこと
好きだったんだ…!


――ヒカリは、シンジのことが
好きなんだよ?
あたしにしときなよ。



そんなこと言える自信もない。




いつか、あなたがあの子を想って
涙を流したりするのかな。


あたしの好きなあなたは
あたしを見てくれない。


あなたの好きなあの子は
あなたを見てくれない。


end
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