novel

ヒトナツ
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ヒカリ。

あの夏の夜の中に、
君はいたね――。




今年の夏は、いつもより
空が澄んでいて、
星がよく見えるような
気がしていた。

ある日、サトシが
仲間を連れ、マサラに帰ってきた。

サトシたちは
何日間かここにいるらしい。


サトシの母親が
ご馳走を作ってくれるから、
シゲルも来い、と
俺はサトシの家へ呼ばれた。


サ「やっぱりママの手料理は最高だぜ!」

そう言い料理を頬張る
サトシの隣にいるのは、
ヒカリ。

透けるような白い肌に
艶のいい藍色の髪。

彼女はまるでマサラに降りた
女神のようだった。

サ「どーしたんだ?シゲル」

食事をしながら、俺は
彼女に見とれていた。

サトシに呼ばれた俺は
あわてて目をそらした。

――食事が終わり、
俺たちは外で旅のことやなんかを
話していた。

ヒ「シゲルはしっかりしてるわよね〜、サトシと違って!」

サ「なんだよ、うるさいなあ…」

シ「少しは成長したらどうなんだ?サートシ君」

ヒ「あはははは!」

真夏の星空の下で
俺の胸はトクン、トクンと
高鳴った。

涼しい風が、熱い頬を冷ました。
ヒカリの髪が揺れた。そして、ヒカリと毎日一緒に
いるうちに
確実な想いが生まれた。


俺は、ヒカリのことが好きだ。


気づけばヒカリを見ていた。
愛しくてしようがなかった。


あと2日でサトシたちは
ここを離れ、またしばらくは
帰ってこない。


ならば、この想いを伝えたい。


俺は決心した。

その夜。特に星が輝いていた。

俺はヒカリを探した。

すると、木陰に人影を見つけた。
サトシとヒカリだった。


暗くてよく見えなかったが、
2人は寄り添っているように
見えた。
胸騒ぎがし、モヤモヤした
気持ちが胸に広がった。


そのとき。

2つの影は、互いに抱き合い、キスをした。


あまりにも
星がきれいだから、
夢と現実の区別も
つかないほどだったが、
俺は悟った。


ああ、そうだったのか―。


俺は拳をギュッと
握り締め、自分の影を見つめた。

こうして俺の想いは
静かに消えた。




次の日、サトシたちは
また旅立っていった。


歩き出したヒカリの背中に
そっと呟いた。

短い間だったけど
大好きだった。
ありがとう。

そして風も冷たくなり、
夏も次第に
終わりを告げ始めた。

end
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