novel

ちいさなもの
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サ「おやすみ、ヒカリ」

ヒ「おやすみ−」

俺たちはとあるシティのはずれにあるホテルに来ていた。
ホテルといってもそれほど立派なところではない。
トレーナー向けの安いホテルだ。


俺たちはそれぞれ
部屋を1つずつ、
つきあたりの部屋がタケシ、
真ん中がヒカリ、
そして一番右の部屋を俺が使うことにした。
部屋に入りみんなすぐに眠りについた。


―どれくらい経っただろうか。
俺はかすかなすすり泣く声で目を覚ました。

ぼんやりと目を開け、耳を澄ますとそれは
隣の部屋から聞こえてくるものだった。



ヒカリが泣いている…?


心配になった俺は
すぐにベッドから降り
隣の部屋へ向かった。

なおもまだヒカリの
すすり泣く声は聞こえている。

ドアの前に立ち、
そっと2回ほどノックをした。

―トントン。
サ「……ヒカリ?どうした?」


返事が返ってこない。
俺はますます心配になった。

サ「…ヒカリ−?入るぞ?」

俺は緊張しながら
そっとドアを開け、
ヒカリの姿を探した。


ヒカリはベッドの上で
顔をぐしゃぐしゃにして
泣いていた。
ヒカリは涙目で俺を見つめた。

ヒ「サトシ…っ……ふぇぇぇぇん…」

ヒカリがまた泣き出したので、
俺はあわててヒカリのいるベッドに近寄り、ヒカリのすぐ隣に座った。

サ「どうした?どこか痛いか?」

ヒ「……えりたい…っ」

サ「えっ?」

ヒ「おうち…かえりたいっ……」

俺は少しきょとんとした。
昼間はあんなに元気だったヒカリが、
突然ホームシックなんて…

とりあえず、どうしたらいいかわからなかったが
ヒカリの頭をなでてあげた。

サ「…そっか。最近ヒカリのママさんとこ帰ってないもんな。」

ヒ「…ふぇぇ…ママのとこ行きたい…」

ヒカリは俺に抱きついてきた。
思わず固まってしまったが、
すぐにこんなことしてる場合じゃないと思い、
俺も優しくヒカリを抱きしめた。

ヒカリは俺の胸の中で泣いている。

普段は、あんなに元気なヒカリも、
本当はやっぱり自分の家が、母親が恋しいんだ…。

俺はヒカリが俺よりずっと小さい存在なんだ、弱い女の子なんだと思い、
一層強く抱きしめた。

ヒカリはようやく落ち着いてきたようだ。

ヒ「サトシ……。」

サ「ん?」

ヒ「一緒に寝てい−い?」

ヒカリが潤んだ瞳でそんなことを言うので、
俺はまた思わずドキッとした。

ヒカリ「お願い…」ヒカリが俺のパジャマの左袖をぎゅっと握った。

俺の心臓が一瞬壊れそうになった。

そして俺はヒカリをもう一度ぎゅっと抱きしめた。

サ「ほら、寝よう」

俺が布団をめくり、ヒカリの寝るスペースを設けると、
ヒカリはすぐに俺の隣に甘えるようにぴったりとくっついた。

俺はちいさなちいさなヒカリに布団をそっとかけ、眠りにつくまで
ヒカリの背中をポンポンと優しく叩いていた。


*end*
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